現状を説明しよう。
ここ数か月で観光セクターの5万社以上が廃業に追い込まれている。各都市が実施したロックダウン(都市封鎖)と、市民が航空機の利用やホテルでの滞在に不安を抱いているのがその原因だ。
ブラジルのエスタド通信(Agencia Estado)が10月はじめに報じたところによると、ブラジルの全国商業財・サービス・観光・商業連合(CNC)が調査を行ったところ、レストランや文化施設・アトラクションなど観光客に依存するビジネスで、2020年3月以降に廃業した数はおよそ5万件に上ることがわかった。
この数は、ブラジルの観光関連企業全体のおよそ16.7%に相当する。最大の打撃を受けたのは、観光地にあるレストランやバーだ。8月時点では、削減された雇用の半分以上を占めている。
ホテルは約5400件が休業した。バスの観光路線は約1700ルートが運休している。ただし、完全に廃止されたのかどうかは明らかではない。
CNCの調査報告書を書いたファビオ・ベンテス(Fabio Bentes)は、有料購読者向けのニュース速報記事において、「航空会社も懸念される状況にある」と述べている。「コロナ危機によってわずかの企業しか生き残れず、市場の集中が起こる可能性がある。そうなれば、航空運賃に影響が及ぶだろう」
ブラジルを訪れる観光客に人気ナンバーワンの都市といえばリオデジャネイロだが(なお、リオデジャネイロで2021年2月に開催が予定されていたカーニバルは延期が決定しているが、2月になったときに地元民が実際に当局の警告に従い、恒例行事のカーニバルを諦めるかどうかはわからない)、こうした問題を抱えているのはリオデジャネイロだけではない。廃業した企業がもっとも多かったのはサンパウロで、1万5200社が商売を畳んだ。2位は、リオデジャネイロの北に位置するミナスジェライス州で、5400社が廃業。3位はリオデジャネイロで4500社だった。
大量の企業が廃業したことで、おおよそで48万1300人が職を失った。
「旅行・観光業界の雇用喪失が労働市場に与える影響は計り知れない」とベンテスは言う。「業界は14%の労働力を失った」