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米国では、新型コロナウイルスのパンデミックはまったく収束の兆しを見せていない。一度減少した感染者数が再び増加し始めたことにより、経済再開などに関する計画の見直しを余儀なくされた州がいくつもある。

公衆衛生当局の関係者は、私たちが(新たな常態から)“本来の常態”に戻ることができるのは、来年以降になる可能性があると警告しているが、それも楽観的な見方かもしれない。

それにもかかわらず、このパンデミックを終息させるための行動に、関心を失う人がますます増えているのはなぜだろうか。

人間はリスク評価、特に長期的なリスクの評価が苦手だ。「双曲割引」として知られる概念によって説明されるとおり、私たちには遠い先の将来に得られる大きな利益よ​​りも、小さくてもすぐに得られる利益を優先する傾向がある。これが、深刻でありながら、すぐに実感し始めるものではない脅威への無関心を生み出す一因と考えられる。

気候変動の問題を考えてみてほしい。かつてない深刻な、そして私たちの存亡にもかかわる脅威だ。だが、説得力ある証拠が示され、多く人が行動を促しているにもかかわらず、世界各国の取り組みのペースは遅い。

この麻痺した感覚の理由の一つは、私たちの脳が、事業利益や経済発展の機会を失うことなど、短期的な脅威に注意を向けるように“配線”されており、食糧不安や大気汚染といった長期的な脅威はかき消されてしまうことだ。

新型コロナウイルスがこれと同じように受け止められるのは、深刻な脅威ではあるものの、今すぐ影響を及ぼすものではないと認識している人が多いためだと考えられる(住んでいる地域では感染率が低い、家族や友人に感染者が出ていない、などが理由)。

また、人間は車が向かってきているときに横断歩道を渡ろうとすれば危険であることなど、定量化することが可能な脅威に反応する傾向がある。つまり、脅威が不確実性に包まれている限り、対策はより困難になる。

科学界が多くのことを明らかにしてきた一方で、新型コロナウイルスについてはまだ分からないことが多い。このウイルスへの対応は、気候変動と同じような慣性を伴ったものになる可能性もある。

編集=木内涼子

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