イギリスでは「Go To Eat」キャンペーンが8月に終了したにもかかわらず、多くの飲食店が9月現在も自腹でキャンペーンを延長している。その実態と狙いとは。
外食天国と呼ばれた8月。英国版Go To Eatとは?
「Eat Out To Help Out(外食して助けよう)」と銘打った当キャンペーンは、「8月の月〜水曜日限定で外食を半額にする」というものだ。対象の飲食店で店内飲食をするとノンアルコールドリンク・食事が半額、1人あたり最大10ポンド(約1400円)まで割引される。
適用日は参加店での飲食が何度でも半額になり、会計時に自動で割り引かれるという手軽さも受け、多くの英市民が利用した。
予算は5億ポンド(約700億円)。ランチとディナーのどちらでも使用可能だが、店内飲食限定でテイクアウトは対象外だった。
イギリス版Go To Eatの効果は?
8月のキャンペーン適用日。平日にもかかわらず店内外ほぼ満席のレストラン
イギリスでは3月にロックダウンが開始、パブやレストランが再開されたのは7月のことだった。お店が開いてもまだコロナが怖いと思う人も多く、なかなか客足が戻らない中始まったGo To Eatキャンペーン。「半額になるなら」と多くのイギリス人の外食欲を刺激し、結果、大盛況となった。BBCによると、予算の5億ポンドを超える5億2200万ポンド(約709億円)の利用が確認された。
大手予約サイトOpenTable(オープンテーブル)によると昨年同月対比(月〜水曜日)で予約件数が53%アップ、さらに、キャンペーン最終日の8月31日は駆け込み需要と祝日が重なり、予約件数が最大で216%アップした。
キャンペーン開始前の7月は昨年同月対比が-54%だったことを踏まえると、その効果の高さが窺える。
もちろん、ソーシャルディスタンシングのため席数が限られて予約需要が高かったことや、自宅待機によりインターネットに触れる時間が増えたことで予約サイトの利用率が高まったことも、予約件数の増加を後押ししている。
しかし、イギリスの人口は約6600万人で、開始1カ月で6400万食が利用されたとなると、多くの英国民に外食を促し、飲食業の復活に大きく貢献したと言える。