ロンドンの人気ラーメン店、自腹延長の狙い
ロンドンの飲食店事情に詳しい金澤成亮氏と、実際に自腹延長をしているラーメン店「Kanada-Ya(金田屋)」Co-founderのアーロン氏に話を聞いた。
在英12年、ロンドンのデザインスタジオ「Centre Creative」を運営する金澤成亮氏。イギリス最大の日本食料品専門店「Japan Centre」でクリエイティブ部門を担当する他、ロンドンの飲食店のデザインやPRを担当。
Go To Eatキャンペーンが始まる前の7月は、ロックダウン開け直後ということもあり、まだコロナウイルスへの警戒心も高く、ロンドンの市内に足を運ぶ人は少なかったが、8月以降、街には人が増え、金澤氏が担当している飲食店でも、当キャンペーンの効果で昨年を超える売り上げを上げた店舗が多かったという。
「店内では一定の距離を開ける必要があり、席数は減らしましたが、店外席を新たに設けることで補填をしました。そのため、総席数はコロナ以前とほぼ変わらない数を用意することができました。満席のお店も多く、飲食業の復活に大きく寄与したと感じています」
Kanada-Ya(UK)Co-founder アーロン氏
アーロン氏も8月のGo To Eatキャンペーンの効果は高かったと感じているという。事実、月〜水曜日の売り上げはロックダウン以前とほぼ同じまで回復した。
急にお得な割引がなくなることで客足が遠のく可能性があるので、この盛り上がりを持続させるべく、「Kanada-Ya(金田屋)」も9月いっぱいは会計時に25%割引を行なっている。
「8月はアルコール飲料は割引対象外でしたが、9月のキャンペーンではアルコール飲料も割引対象としました。その結果として、注文単価のアップと売り上げの維持を期待しています。とりわけ、若者世代が市内へ足を運ぶことを促進し、夜間の飲食業を再び盛り上げたいと考えています」
どうなる? Go To Eatキャンペーン
筆者がイギリス・ロンドンへ来たのは8月中旬。キャンペーンのことを認知していなかった筆者は、レストランの会計時に二人で20ポンド(2700円)も割引されていたため何かの間違いかと驚き、思わず店員に問いてしまった。
そこで初めて、8月中は外食が半額になることを知ったのだが、このシンプルさ、シームレスさが、このキャンペーンの利用率の高さだと納得できる。
日本でもGo To Eatキャンペーンが始まりそうだ。開始時期などまだ不確定要素が多いが、還元率が10〜25%だったり、曜日指定がなく休日でも使える、など魅力的な要素も多い。一方で、その仕組みはイギリスと比べると複雑で条件も多いため、普及には少し時間がかかりそうだ。
イギリスでは、Go To Eatキャンペーンが終了した9月より、若年層を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大し、第二波への警戒が高まっている。毎週、新規感染者が倍増していることを受け、6人以上の集会(学校などを除く)が禁止され、一部の地域では夜10時以降の飲食店営業禁止が始まった。日本では感染予防対策を徹底した上でGo To Eatキャンペーンが成功することを祈りたい。