度数半分で勝負 「低アルコール」好きを狙うカナダの新ブランド

モクテル(mocktail:ノンアルコールカクテル)(Daxiao Productions / Shutterstock.com)

蒸留酒の世界では4年ほど前から、低アルコール度数(ABV:Alcohol by Volume)やノンアルコールが席巻している。

健康に対する意識が高い飲酒者と、あえて酒を飲まない「ソーバー・キュリアス(Sober Curious)」ムーブメントの拡大に後押しされ、ノンアルコールテキーラから、低アルコールのアマーロ(ハーブのリキュール)、ノンアルコールのワインまで、あらゆるものが市場に登場してきた。

そして今回、ソーバー・キュリアスのゲームに参入した新顔が「18.8」。アルコール度数がきっかり18.8%になるようにつくられた、低アルコールのジンとウォッカのブランドだ。展開するのは、カナダ本拠のメーカー「FLUID Assets Inc」。スピリッツの香りは強いが、アルコール度数は従来の半分ほどになっている。

低アルコール度数のスピリッツが直面する大きな問題のひとつが、「パンチに欠ける」という点だ。たいていは水っぽく薄まっていて、従来のアルコール度数が高いスピリッツに比べると、ささやき声のような印象しかない──ストレートでちびちびと飲みたくなるようなものではない。

だが、18.8はその点で驚くほどいい仕事をしている。従来のウォッカやジンのかわりにカクテルに入れても、完璧に満足のいく仕上がりになる。

18.8ブランドのジンは、フローラルな甘い香り、クリーミーな味わいで、ほのかなボタニカルの風味がある。だが、フィニッシュは短い。のどが焼けるような感覚や、いつまでも残るジュニパーの香りはない。

それに対して、18.8ブランドのウォッカには、通常のアルコール度数のウォッカと同様の、鼻が熱くなるような感覚がある。とはいえ、その感覚は抑えめで、かすかに甘い風味がある。

「ノンアルコールのスピリッツ」を選ぶのは、どんな人なのだろうか?

ノンアルコール飲料を選ぶ人たちはさまざまだ。飲み会帰りの運転を任された人もいれば、健康意識の高いミレニアル世代、ソーバー・キュリアスを実践する人、あるいは翌朝早く起きなければならない人もいる。

そうした人たちのおかげで、ここ数年、低アルコールやノンアルコールの飲料が活況を呈し、消費者の飲酒習慣や行動の根本的な変化を駆り立てている。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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