3代目iMac(2002)はフラットスクリーンを採用した通称ランプiMac
初代および2代目iMacの大きなプレッシャーを受け、次にリリースされるiMacに世の中の注目は集まった。結果としてそれは良い意味で期待を大きく裏切る結果となった。
2002年のMacworld San Franciscoにて、iMacのデザインの話題は色から形へと移った。ここで発表された3代目のiMac、正式名称 iMac G4はその形を大きく変化させ、カラーバリエーションは白だけになった。
そのシェイプは再びパソコンの常識を覆すものであった。むしろその形は家電に近く、動く姿はまるでピクサーのオープニングアニメーションに登場するLUXO Jr.ランプのアニメーションを彷彿とさせ、このモデルは通称ランプiMacやiLampと呼ばれた。実際、ピクサーはAppleと協力してiMacを題材にした2つの短編アニメーションを制作した。
ピクサーからインスパイアされたiMacのCMのワンシーン
この世代のiMacからディスプレイがCRTから液晶フラットパネルに移行した。その裏にはジョナサン・アイブによる「重力に逆らっているように見える」デザインを実現する狙いがあった。
磨き上げられたネックに吊るされた15インチの液晶パネルは、iMacの部品を収納するドーム型のベースに固定されている。コンピューターの筐体とディスプレイを区別することで、LCDパネルを薄く動かしやすいデザインを実現した。
この設計により、ディスプレイを360°縦横無尽に動かすことを可能にした。キーボードもマウスも透明感を残しながらも進化させた。
その当時ジョナサン・アイヴは、彼のこだわりが凝縮されたモデルだと説明。与えられた制約を生かし、限りなくエレガントなデザインを生み出した。確かにそれは初代iMacにも劣らない革命的なデザインであり、シンプルさの追求でもあった。そして、無機質なプロダクトに「可愛らしさ」を追加することでより親しみやすさをアップさせた。
この斬新なデザインが評価され、現在、近代美術館の建築デザイン部門にも展示されている。
Appleでは『デザインが最も重要であり、テクノロジーはそのデザインを実現する手段として極限まで追及されていることを体現したプロダクト』でもある。ソフトウェア面を見ても、iTunes, iMovie, iPhotoなど、現在も利用されているアプリの源流であるiLifeシリーズのソフトウェアがプリインストールされたのもこのモデルからである。
しかし、この世代のiMacに弱点がないわけではない。デザイン性を追及した結果、スピーカーを内蔵することができず、外付けにせざるをえなくなった。
外付けスピーカーを余儀なくされた3代目iMac
4代目iMac(2004)iPodのデザインモチーフをパソコンに採用
次世代iMacのキャッチコピーはシンプルだった。それは、”From the creators of iPod(iPodの生みの親たちから)” だ。これは、『Appleのビジネスが音楽プレーヤーによって急速に変貌を遂げた』ことを端的に表している。
かつては単目的のアクセサリーだったiPodは、この時点で現代の多くのユーザーのデジタルライフスタイルに欠かせない存在となり、iMacにもデザインにも直接影響を与えている。
このモデルの正式名称はiMac G5。デザイン面では、これまでの奇抜なシェイプや素材ではなく、よりシンプルに洗練されたスタイルを追及。フラットパネルディスプレイに本体のパーツ全てを格納することで、究極のエレガントさを生み出した。ディスプレイの厚みは2インチ弱。
アルミニウム製の台座に吊るされたiMac G5は、当時世界で最も薄いデスクトップコンピュータだったとAppleは主張していた。先代に引き続き、カラーは白のみでディスプレイサイズは17インチと20インチの2種類。全体のシェイプ、雰囲気、プラスチックの質感の全てがiPodとのデザイン的共通項となっていた。
このデザインを踏襲した第5世代では、より薄く、性能をよりパワフルに、そしてiSightカメラを標準装備することでオンラインコミュニケーションに動画の概念を導入した。2006年にはそれまでで最も大きなスクリーンを持つ24インチのモデルを追加した。この辺からが現在のiMacに直結したデザインスキームが始まっている。
iPodのデザインスキームを採用した4代目iMac