中国国営の新華社通信社の9月6日の記事によると、4日にゴビ砂漠から打ち上げられた機体は2日間のミッションを終え、予定通り帰還したという。
「今回の飛行の成功は、再利用可能な宇宙船の研究に大きな前進をもたらし、宇宙の平和利用を前進させる」と新華社は述べた。
しかし、今回のロケットに搭載されていたのが、人間を運ぶために設計された宇宙船のプロトタイプなのか、アメリカの軍事用シャトル「X-37B」に近いものなのかは定かではない。
香港紙のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)の取材に答えた匿名の軍関係者は、これはX-37Bに類似したものであると述べ、中国が軍事目的で宇宙開発を進めていることを示唆した。今回の打ち上げに関しては、中国のこれまでのロケット打ち上げの時よりも、厳しい箝口令が敷かれていた。
さらに気になるのは、中国のロケットが軌道上で何かを放出したとの指摘が出ている点だ。その物体が何であったかについては、いくつかの憶測が出ている。
宇宙ジャーナリストのアンドリュー・ジョーンズは「中国は以前、有人宇宙船の神舟7号からBanxing(伴星)と呼ばれる監視目的の小型人工衛星を放出していた」と、SpaceNewsの記事で指摘している。中国は今年5月に新型の有人宇宙船から、テスト機器を放出する実験を行ったが、その際はトラブルに見舞われたという。
中国は、米国やソ連に続いて宇宙船を定期的に軌道上に送り込もうとしており、既に月の裏側に探査機を送り込み、7月には火星探査機「天問1号」の打ち上げを成功させ、来年春の火星着陸を目指している。
しかし、中国の宇宙船の利用目的に関しては、世界の多くの人が注意深く見守ることになりそうだ。