ビジネス

2020.09.07

引越ししない転勤も? 優秀人材は「働き方の柔軟性」を重視

Getty Images

グローバル人材の転職を支援する人材紹介会社のロバート・ウォルターズ・ジャパンは8月24日、国内で働く会社員を対象に実施した「アフターコロナ時代の新しい働き方意識調査」の結果を発表した。

7月27日からの1週間に実施したこの調査には、首都圏、関西圏を中心に国内で働く会社員666人が回答を寄せた。

96%が「柔軟性を重要視」


数カ月にわたる在宅勤務の経験を経て「会社に支援して欲しいこと」は、1位「自宅ネット環境の改善支援・手当」(64%)、2位「携帯電話・スマートフォン(端末支給・電話代・ネット代など)」(59%)、3位「オフィス家具(モニター・机・椅子など)の購入手当」(56%)、次いで4位は「今支給されているものより機能的なパソコン」(53%)だった。メンタルケア、チームビルディング、ウェルネス活動などへの改善要望は多くなく、半数以上の会社員は「生産性に直結するものへの支援」を求めているようだ。

アフターコロナ時代(コロナ終息後)も現在働いている会社での勤続や今後の転職に際して「働き方の柔軟性」を重要視するかという質問では、実に96%の会社員が「重要視する」と回答した。

コロナ禍での働き方の変化と生産性の維持を経験した会社員にとっては、「働く場所・働く時間帯に縛られない働き方」が今後も就労生活において大切な要素であり続けるようだ。

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ロバート・ウォルターズ ジャパン

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ロバート・ウォルターズ ジャパン


ロバート・ウォルターズ ジャパン

「フレキシブルワーク先進企業たれるか」が命綱?


本調査結果を見る限り、「コロナと共にある」産業界で優秀な人材を確保するには、フレキシブルワーク(しなやかな働き方)が可能な職場環境の実現が必須になってきそうだ。

実際、ある超大手外資系IT企業には、大阪支社からの社内転職活動で東京の部署に6月に「転勤」したものの引越しは見送り、大阪の自宅から東京のチームにリモートで参加している正社員の例がある。同社では他にも、同じく大阪支社から米国本社に社籍としては「転勤」したものの、大阪に住み続けている外国人社員も複数いるという。いずれも物理的な転勤でなく、リモート(バーチャル)転勤の例である。

外資系企業ではそもそも、東京オフィス勤務だが上司は英国ロンドンにおり、組織的にも日本支社でなく英国支社配属、などという例は常識的だ。十数名のチームの会議でも世界4、5カ国からログイン、といったことも珍しくないから、引越ししない転勤もごく「ノーマル」なのだろう。
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構成=石井節子

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