ブラジルのロコモティバ研究所などが昨年、18歳以上の女性1081人を対象に実施した調査では、乗客の97%がモビリティアプリやタクシーを利用中に性的なハラスメントを受けた経験を報告した。
ブラジル最大の配車アプリで、2018年に中国の滴滴出行に買収された「99」は、女性客の安全リスクに取り組むため、AI(人工知能)を活用した様々な取り組みを展開し、犯罪者の迅速な特定と被害者へのより良いサポートを目指している。
ブラジルで約2000万人の利用者を抱える99は、現地でウーバーと並ぶモビリティサービス企業だ。同社はAIの活用により、2020年上半期のセクハラの発生件数を23%削減出来たと述べている。
モビリティ分野のユニコーン企業である99のAIシステムは、レビューの中にあるハラスメント関連のワードを自動的に検出し、顧客からの苦情を特定している。ただし、99は自動化されたアルゴリズムに全てを頼るのではなく、人力を用いた取り組みも行い、ブラジルのフェミニスト組織Think Olgaの男女平等戦略部門のThink Evaとも提携を結んでいる。
この提携により、99は被害者とのより迅速で共感的なコミュニケーションを実現し、プラットフォームから犯罪者を遠ざけたという。コメント内のハラスメントクレームの約8割は、ツールによって特定されている。
また、99はもう一つのAI主導の取り組みとして、運行ルートの監視を行っている。これにより、長時間の停車や予想以上に時間がかかる送迎を検知している。
99はさらに、乗車中の全ての会話を録音するオプションや、女性ドライバーを依頼できるオプションのテストを重ねている。同社によると、セクハラ関連の機能はドライバーに提供される訓練コースの中で、最もアクセス数が多いという。