15. ミクロの世界の解明でパンデミックの危機を回避
地球のあらゆる表面には、現在、そして未来のパンデミックによる危機を回避するのに欠かせない情報が隠されています。人がその一生の90%を費やすことになる建造環境(人工的に造られた環境)は、自然の細菌、真菌、ウイルスの生態系からなる自然発生のマイクロバイオームの宝庫です。
このマイクロバイオームデータを迅速にサンプリング・デジタル化し解析するテクノロジーは、病原体の広がり方についての私たちの理解を一変させます。この目に見えない微細なデータのレイヤーを解明し、遺伝子シグネチャーを特定することで、人や集団がいつどこで病原体を放出しているのか、どのような表面や環境が最も伝染リスクが高いのか、そして、これらのリスクが私たちの行動や、時間に伴う変化にどう影響を受けるのかを予測できるようになります。
今はまだ、マイクロバイオームデータの洞察が示すものの表面にやっと手が届いたという段階ですが、今後5年間で状況はさらに進歩するはずです。これらの洞察は、パンデミックの回避と対応に役立つだけではなく、公衆衛生を犠牲にすることなく経済活動を支える方法、そして建物、車、地下鉄、飛行機などの環境を設計、運用、清掃する方法に影響を与えるでしょう。
──ジェシカ・グリーン氏、フィラゲン共同設立者兼CEO
16. 機械学習とAIによる高炭素産業の脱炭素化
今後5年間で、炭素排出の多い産業では、機械学習とAIテクノロジーを活用したカーボンフットプリントの劇的な削減が進められるでしょう。従来、製造業や石油・ガス産業などでは、生産性と収益性の維持に苦心するあまり脱炭素への取り組みが遅れがちでした。しかし、気候変動や規制による圧力、また市場の劇的な変動により、これらの産業にも変化が求められています。例えば、石油・ガス企業や工業メーカーは、規制当局が今後数年間での二酸化炭素排出量の大幅削減を求めていることに危機感を抱いています。
これらの産業は、交通や建築の分野で脱炭素化に欠かせなかったテクノロジーを活用した取り組みと、同じようなアプローチを取ることになるでしょう。デジタルトランスフォーメーションの拡大により、炭素排出の多い分野でも、無数の接続デバイスからのリアルタイムで精度の高いデータを使い、AIや機械学習などの先進的技術で、効率的かつ積極的に排出を削減しカーボンフットプリントを減らすことができるようになるはずです。
──デイビッド・キング氏、フォグホーンシステムズCEO