17. プライバシー保護の普及と優先
近年、目に見えるプライバシーの規制は加速しているにも関わらず、規制の観点からも消費者の視点からも、プライバシーに関しては現在もまだその氷山の一角が見えているだけです。5年後には、プライバシーやデータセキュリティはコモディティ化し、消費者自身が機密データ資産を保護し管理できることは特別ではなく、むしろ原則としてみなされるようになるでしょう。こうした認識と理解が高まるにつれ、プライバシー強化技術(PET)と呼ばれる、プライバシーを保護・強化する機能も普及していきます。
2025年までに、PETはテクノロジーカテゴリーとして主流となり、最低限のコンプライアンスを満たすためだけに付け加えられる要素ではなく、企業のプライバシーおよびセキュリティ戦略の基本となるでしょう。国際的なプライバシー基準はの整備が整うにはまだ至らないかもしれませんが、地域の規制や消費者の期待に応えていくために、それぞれの組織が柔軟性を備えたデータ中心のアプローチをセキュリティに対し採用すると考えられます。こうした取り組みは、組織内のデータ、プライバシー、セキュリティを管轄する部門横断的なチームにより主導されていくでしょう。
──エリソン・アン・ウィリアムズ氏、エンベイル創設者兼CEO
テクノロジーは今後5年で世界をどう変えるか
増加する世界の人口への食料供給の問題や、ヘルスケアへのアクセスと品質の向上、気候変動の悪影響を阻むための二酸化炭素排出量の大幅削減など、地球は緊急性の高い数々の問題を抱えています。こうした問題の解決へ今日の技術変革の速さと可能性は、大きな期待感を抱かせてくれます。起業家や、投資コミュニティ、世界トップクラスの研究開発企業が、具体的な結果をもたらす解決策の開発と展開に注力しているため、5年後にはきっと大きな改善が見られることでしょう。
新型コロナウイルスのパンデミックは、この世界が人と経済の混乱に対してどれほどもろいかという難しい教訓を与えました。しかし同時に、おそらく歴史上はじめて、人命を脅かす緊急事態の被害を抑えるために政府トップレベルでのグローバルな連携、データの透明性、そしてスピードが必要となった出来事でもありました。
私たちは、歴史によって判断されることになるでしょうが、単体で見れば英雄的な決意とレジリエンスを示した国もあったものの、世界全体としては、現在のところ十分な結果を出せていません。グローバルコミュニティとして、そして世界経済フォーラムのようなプラットホームを通じて、私たちはこれらの問題を可視化し続け、最善かつ最速で対処できるテクノロジーとイノベーションのチャンスを見出し、支援していく必要があります。
──ロバート・ピコニ氏、エナジー・ボールトCEO
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
過去記事はこちら>>