テクノロジー

2020.08.15 13:00

先端テック企業に聞く2025年までに世界を変える17の方法|後編


13. 富のギャップの解消


AIの進歩により、資産形成がついに一般庶民にも手の届くものとなるでしょう。これまで資産管理の頼みの綱だったのは、個別の戦略に基づき小さな巣の卵を大きく育てるナレッジワーカーであるファイナンシャル・アドバイザー。しかし彼らのサービスは高価であるため、資産管理とは既に資産を持っている人だけがその富を守り育てられるというものでした。その結果、これまで資産管理はそれを最も必要とする人たちの手の届かないところにあったのです。

AIの進歩の速さは、ファイナンシャル・アドバイザーたちが用いる戦略にテクノロジーを介してアクセスできるまでになっており、一般庶民に手頃な価格での利用を実現します。ApplePayを使用するのに近距離無線通信がどのように機能しているのか仕組みを把握する必要がないように、何千万もの人々が、現代のポートフォリオ理論を知らずとも「お金を働かせる」ことができるようになるのです。

──アティッシュ・ダフダ氏、エクイティ・ゼン共同創設者兼CEO

14. 「デジタルツイン」が支えるクリーンエネルギー革命


今後5年間で、エネルギー転換は佳境を迎えます。新しい再生可能エネルギーのコストは化石燃料の限界費用よりも低下。グローバルなイノベーションエコシステムにより、問題をまとめて対処できる環境が整い、イノベーションの展開が急速に拡大していくでしょう。洋上風力発電は、発電量の大幅な増加が見込めます。そのためには、太陽光発電のイノベーション曲線のように、ムーアの法則に沿って、加速するデジタル化へゆるぎない取り組みを続ける必要があります。

「デジタルツイン」と呼ばれる、物理デバイスの仮想的レプリカを迅速に開発することで、エネルギー分野のシステムレベルでの変革を支えることができます。

物理学に基づいたモデルと、ビッグデータを組み合わせた科学的な機械学習は、無駄のない設計、運用コストの削減、そして究極的にはクリーンで手頃なエネルギーをすべての人に提供することにつながるでしょう。構造的健全性をリアルタイムで監視し、故障する前に修理できるようになることで、より安全でレジリエントなインフラが実現し、風力発電所から橋、無人航空機に至るまで、すべてのものがリアルタイムの「デジタルツイン」により保護される時代がやってくるでしょう。

──トーマス・ルーレント氏、アクセロスCEO
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文=Saemoon Yoon Community Lead, Technology Pioneers, World Economic Forum Geneva

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