量子コンピューターから、普及が進む5G技術、そして癌の長期コントロールまで、彼らの近未来予測を前編・後編に分けてご紹介します。
1. AIによる製造の最適化
紙と鉛筆による管理、運、大規模で世界的な移動、不透明なサプライチェーンが支える今日の世の中は、大量のエネルギー、物質、時間を無駄にしています。新型コロナウイルス感染拡大により長期的に国や地域間の移動ができない状態となったこともあり、製品の設計や製造を手掛ける企業は、製造ラインから始まり、サプライチェーン全体にわたる製品やプロセスのデータを集約し、インテリジェントに変革し、状況に応じながら送り出す、クラウドベース・テクノロジーの採用を急速に進めていくでしょう。
2025年までに、このデータのユビキタス化の流れと、それを処理するインテリジェントアルゴリズムにより、製造ラインにおけるアウトプットと品質の向上へ絶えず最適化を行うことが可能になり、製造における無駄は全体で最大50%削減されると考えられます。その結果、私たちはより高品質の製品を、より早く、より安価に、そして、環境にも優しい方法で手にすることができるようになるでしょう。
──アンナ-カトリーナ・シェドレツキー氏、インストルメンタルCEO
2. 広範囲にわたるエネルギートランスフォーメーション
2025年には、カーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)は今日の飲酒運転のように、社会的に容認できないものとみなされるようになるでしょう。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、私たちの暮らし方、健康、そして、未来に対する脅威に立ち向かうための行動に、世の中の関心が集まるようになります。
その関心が政府の政策と行動の変化を促し、カーボンフットプリントにも世界が厳しい目を向けるようになります。個人、企業、そして国家が、カーボンフットプリントを無くす「ネットゼロ」達成のため、最も迅速、かつコストの少ない方法を模索。持続可能なネットゼロの未来が、世界の二酸化炭素排出量を大幅に削減する広範囲のエネルギートランスフォーメーションや、二酸化炭素を回収・利用・除去する大規模な炭素管理産業の誕生により構築されます。あらゆる新しいテクノロジーが世界の二酸化炭素排出量の削減と除去を目指すことで、過去の産業革命やデジタル革命と肩を並べるようなイノベーションの波が生まれるでしょう。
──スティーブ・オールダム氏、カーボン・エンジニアリングCEO