ビジネス

2020.08.17 07:30

マイクロツーリズム時代に求められる「広報」の力

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「内覧会」を行う目的は、地元にファンを作ることです。地元の方は、意外と近所のことを知りません。吉田の場合も、市民のほとんどは、この地域に足を踏み入れたこともなければ、蔵もみたことがなく、もちろん、窯元の工場など入ったことがありませんでした。この内覧会を行なったことで地元の人は自分が住んでいる地域の名産がどのように作られているかを知ってもらう機会になりました。
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一方で「プレス発表会」を行う目的は、主催者がきちんと情報を伝えるためです。まずは丁寧に商品やサービスの目的や効能の説明をする。

その上で、メディアなりの問題意識や視点で記事にしてもらえれば、 読者や視聴者により伝わりやすくなります。

問題は、そのプレス発表会にメディアは来てくれるか、記事にしてくれるか、という点です。そこで重要になるのが前述した「メディアが興味をもってくれやすい切り口」です。こうした切り口がある魅力なら、メディアの方はきっと来てくれると思います。
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窯に焼き物を入れる窯元。これから約2日間かけて焼き上げる。 (C)肥前吉田焼窯元協同組合

吉田の場合、内覧会に来てくれた地元の皆さんは自身のSNSや口コミで情報を発信、宿泊施設や飲食店などの事業者は企画のチラシをおいてくれたり、お客様に情報を伝えてくれました。

プレス発表会には、毎回、多くの地域メディアの皆さんがきてくれ、窯元たちとは すっかり顔なじみに。色々な情報交換をするまでになっています。

地元民は草の根的に、地域メディアは大局的に情報を地域に知らしめてくれたのです。マイクロツーリズムが地元旅であることを鑑みると、地元をいかに巻き込むことの重要さをご理解いただけたかと思います。

魅力は継続して作り続ける


魅力は作り続ける必要があります。認知度を高めるため、というのもありますが、 どんなヒット企画でもいつかは必ず廃れるからです。

吉田焼の窯元たちは、「トレジャーハンティング」「えくぼとほくろ」のヒット企画に甘んじず、フラワーアーティストとコラボをした「吉田皿屋 花巡り」、料理の先生と器のコラボの「薬膳料理教室」、福岡や東京で行う「出張 えくぼとほくろ」、焼き物の道具にLEDをいれて集落をライトアップする「吉田皿屋ひかりぼし」、焼き物のガチャガチャ「肥前吉田焼ガチャ」、「毎月陶器市」などの魅力を次々と創出しました。



「吉田皿屋ひかりぼし」ではボシ(焼き物の道具)を使ったキャンドルホルダー3500個が吉田の山を照らした。(C)@yonemitsu.k

どうでしょう? いずれも旬だったり、写真映えする企画だと思いませんか?

窯元自らが動いた魅力創出と広報が実を結び、誰もいなかった集落に、 1カ月に8台のバス、1000人近いお客様がやってくるようになったのです。

ちなみに、地方メディアの中には 「プレスリリース」のようなものがなくても、電話やメールでいいので情報を教えて欲しいとおっしゃる方もいます。地域の商工会議所や観光協会などが相談にのってくれるはずなので、聞いてみると良いと思います。

日本の魅力は地域にあり。コロナが集束して、気兼ねなしに日本旅ができる日が待ち遠しいです。

連載:旅する“元”広報
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文=南雲朋美

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