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2020.08.17 07:30

マイクロツーリズム時代に求められる「広報」の力

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私は前職がリゾート運営企業の「広報」で、今は大学で「パブリックリレーションズ戦略」を教えています。

全国各地に行く度に思うのは、世の中には知られていない地域魅力が多いこと。少し論点が違いますが、大学で講義をしていると、意見があるのに発言しない生徒たちの多さも気になります。こうした状況を見ると「人に情報(思い)を伝える」のは、大きなハードルがあるのだと思います。企業という組織に「営業」や「経理」と並んで「広報」という職があるくらいなので、実際、難しいのかもしれません。

夏休みということもあり、これまで3回に渡りマイクロツーリズムについて書いてきましたが、今回は、ではどうやって魅力を伝えるのか、という点に絞ってご紹介したいと思います。

ところで、私は、コロナ期の旅のあり方として、大きな越境はせずに地元圏内を旅する「地元旅」つまり「マイクロツーリズム」を提唱しています。GoToキャンペーンに対して知事会は国民向けメッセージで「近場を旅するように」と提言。観光に関する事業者は、夏だけではなく長期戦を見据えた取り組みが必要になると思います。

夏休みも中盤となり、どこかに行きたくてうずうずしている人も多いでしょう。地域魅力の打ち出し方や伝え方を参考に「地元の楽しみ方」を地域の皆さんに届けていただければと思います。

集客は認知度をアップすることから始まる


今回紹介する事例は、3年前までは国内はおろか市内でも知る人は少なかった「認知度ゼロの産地」佐賀県嬉野市にある「肥前吉田焼」(以降、吉田焼)です。

ここは以前に記事でも紹介した、年代物の在庫品をお宝に見たてた「トレジャーハンティング」、キズがついた焼き物を「えくぼとほくろ」という愛称でプロジェクト化した地域です。

今でこそ(正確にはコロナ禍前)、月にバスが8台きて、1000人以上の観光客がくる吉田ですが、当時は住民以外誰も歩いていない静かな集落でした。


嬉野市から車で20分ほど離れた場所にある吉田焼の産地(C)松本聡子

地域を活性化するために、彼らが取り組んだのは「認知度向上」でした。

「認知」をあげる強力な存在が新聞やテレビなどのメディアです。

新聞やテレビからの情報に接触する頻度は全国的には減少傾向にありますが、地域ではまだまだ重要な情報源です。従って、地域の事業者は自分の認知を上げるために、なんとかして情報を掲載してもらいたいところです。

しかし、そうは言っても、なんでもかんでも掲載してくれるはずはありません。また、掲載してもらっても1回や2回では、読者や視聴者に覚えてもらえません。

アメリカの心理学者、ロバート・ザイオンスが提唱したザイオンスの法則によれば、人は「認知」に至るまでは情報を3回見聞きし、購入や行動に起こすには7回見聞きする必要があると言われています。

認知度を上げるためには、メディアに情報を取り上げてもらうのが良く、そのためにはメディアが興味もちそうな切り口で魅力を作り続けることが重要です。
次ページ > メディアが興味をもってくれやすい10の切り口

文=南雲朋美

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