シリコンバレー本拠のロビンフッドは株取引の手数料を無料にしているが、同社はPFOF(ペイメント・フォー・オーダーフロー)と呼ばれる顧客の注文データの外販から売上を得ている。
ヘッジファンド運営会社のシダテルやTwo Sigmaらは、コンピュータを用いた超高速取引で収益をあげているが、彼らはロビンフッドのような企業に対価を支払って顧客の注文データを入手し、株式市場の一瞬先の動向を知ることで儲けを増やしている。
ロビンフッドの今年第2四半期のPFOF売上は1億8000万ドル(約190億円)に達したことが、開示書類で明らかになった。同社の第1四半期のPFOF売上は9100万ドルとされており、第2四半期はその2倍近くに伸びたことになる。
さらに、ロビンフッドが他の企業に販売する注文データの中で、同社に最も多くの利益をもたらすのが、オプション取引のデータであることも判明している。オプション取引は、顧客が特定の株を事前に決めた価格で売り買い可能にするもので、一般的な売買よりもハイリスクだが、通常よりも大きなリターンが見込める。ロビンフッドの今年第2四半期のPFOF売上1億8000万ドルのうち、1億1100万ドルがオプション取引からのものだった。
ロビンフッドの急成長は、この市場に流れ込む新規ユーザーによってもたらされた。同社のプラットフォームでは、今年の年初からの4カ月間で、300万件の新規アカウントが開設されていた。
ロビンフッドの競合とされる企業も、ここ数カ月間の市場のボラティリティから利益をあげていた。TDアメリトレードの第1四半期のPFOF売上は2億2000万ドルだったが、第2四半期は3億4000万ドルに膨らんだ。イートレードのPFOF売上は同期間に8500万ドルから1億2000万ドルに伸びていた。
20歳の株初心者が自殺する事件も発生
ロビンフッドはPFOF売上に加え、月額5ドルのGoldサービスのサブスクリプション費用からも売上をあげている。Goldサービスに加入したユーザーは、インスタントデポジットと呼ばれる、資金を入金したら即座にそれを投資に回せる機能を利用できるほか、信用取引を利用したり、空売りを行うことが可能になる。
今年6月にはAlex Kearnsという名の20歳の若者が、ロビンフッドで73万ドルの損失を抱えたと思い込み、自殺するという悲劇的な事件が発生した。これを受けて、ロビンフッドはユーザーに十分なガイダンスを行っていなかったとして、世間から厳しい非難を浴びた。
それ以降、同社はオプションの行使に厳しい制限を設けるようになった。ロビンフッドはさらに、アプリ内の通知機能を増強し、Kearnsの自殺につながったような誤解が生じないようにする取り組みを進めている。