今回のデータは、電通のグループ会社でロンドンに本拠を置く「電通イージス・ネットワーク」が世界22ヶ国の3万2000人以上を対象に、コロナ禍におけるデジタル化進展とそれに対する意識調査を実施し、「デジタル社会指標(Digital Society Index)」として発表したデータの一部として公開された。調査対象には、世界5000人以上の若い世代が含まれていた。
新型コロナウイルスのパンデミックにより、多くの人々がオンラインの活動を活発化させたが、意外なことに、若い世代ではオフラインに向かう動きも起きている。世界のZ世代の約17%が、過去12ヶ月間でソーシャルメディアのアカウントを無効化していた。このトレンドは特に欧州の若者の間で顕著で、フィンランド人では34%、スペイン人では30%に達していた。
世界では全体の31%が、ネットの利用時間やスマホを見る時間に制限を加えたと解答した。また、全体の約半数に及ぶ43%が、検索履歴を削除したり位置データを無効化するなどの措置で共有されるデータを減らしており、プライバシー関連の懸念が高まっていることを浮き彫りにした。
さらに、Z世代の半数以上の58%が、テクノロジー企業やそれらのデータ活用を信頼しないと回答した。ソーシャルメディアが自国の政治議論にネガティブな影響を与えると回答した人々の比率も37%に達していた。この考えは特にハンガリー(56%)、オーストラリア(50%)、米国(48%)で顕著だった。
若い世代がソーシャルメディアやオンラインプラットフォームから遠ざかる大きな要因の1つが、メンタルヘルス上の懸念だった。Z世代の半数近くが、テクノロジーが健康にマイナスの影響を及ぼすと考えており、特にスペイン(59%)やオーストラリア(55%)、フランス(53%)で、この比率は高かった。
しかし、今回の調査はZ世代の人々が、テクノロジーがマイナスよりもプラスの効果を与えると考えていることも示している。Z世代の約62%は、デジタル技術が世界の課題の解決に役立つと回答しており、この比率は特に香港(78%)で高かった。また、ポーランドとフィンランド、メキシコでもそれぞれ75%に達していた。