このような睡眠にまつわる話を聞いたことがあるだろう。
しかし、日本のビジネスパーソンの多くが、そうした習慣を実行することが非常に困難である。
忙しい現代のビジネスパーソンにとって、睡眠時間は自然と削られていくのが宿命だ。
『一流の睡眠』の著者、裴英洙氏は、医師であると同時に経営者、コンサルタントという「3足のわらじ」を履くビジネスパーソンでもある。その豊富な知見と経験から、現代のビジネスパーソンの実態に即した「快眠戦略」にたどり着いた。
同書では、著者によりまとめられた32もの「睡眠メソッド」がわかりやすく解説されている。
多忙な毎日を送りながらも、「眠れない」「熟睡できない」を解消し仕事のパフォーマンスを上げ、最速で「一流のビジネスパーソン」になるための睡眠メソッドを、同書の一部から抜粋して公開したい。
「うとうと」「すやすや」「ぐっすり」それぞれに意味がある
自分の睡眠の深さを測る簡単な方法があります。まず、自分の睡眠を「うとうと」「すやすや」「ぐっすり」の3段階に分けて、感覚的に表現してみてください。
「ぐっすり」が短くて「うとうと」が多い。「うとうと」がなく、いつもいきなり「すやすや」に入る。最近、しばらく「ぐっすり」を味わっていない......。いろいろな表現ができるのではないでしょうか。
この3つの感覚的な表現と、人間の頭や体で起きていることの関係を科学的に説明するのが、「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」です。
ノン睡眠とノンレム睡眠時に、それぞれ体や頭で起きていることを簡単にまとめると次のようになります。
レム睡眠の特徴
・「うとうと」前の浅い眠り
・脳が活発に動いている
・トイレに起きやすくなる
・物音で目が覚めやすい
・夢を見やすい
・記憶を固定している
・金縛りを起こしやすい
ノンレム睡眠の特徴
・「うとうと」〜「ぐっすり」の深い眠り
・脳も体も休んでいる
・ストレス解消に効果がある
・ホルモンを分泌している
・居眠りのほとんどはノンレム睡眠の「うとうと」状態
レム睡眠のREMとは、Rapid Eye Movement(急速眼球運動)の略称です。その名の通り、レム睡眠時は、筋肉がダラっとしていますが、目玉はキョロキョロ動いています。
健康な人をレム睡眠時に起こすと、約80%の割合で「夢を見ていた」と話すことから、レム睡眠は夢を見る段階とも言われます。(ノンレム睡眠時もわずかながら夢を見ます)。
アプリやウェアラブルはあなたの「睡眠コーチ」になる
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誰にでも、寝ている最中に無理やり起こされて嫌な思いをした経験があるでしょう。ノンレム睡眠の最中に起こされると、スッキリ感とは程遠いダルさが残ります。
一方、レム睡眠中に目覚まし時計の大きな音で起こされても意外に比較的スッキリ起きられます。レム睡眠は、もともと眠りが浅く、覚醒の準備をしている状態だからだと言われています。
夜間の睡眠では、通常、下図のように、深いノンレム睡眠を経過した後にレム睡眠が出現します。朝方になるにしたがってレム睡眠の持続が長くなり、目覚めの準備に入るのです。
最近では、スマートフォンのアプリやウェアラブル端末などで、簡単に睡眠深度を計測できます。おおよそのサイクルを把握するために、活用してみてください。