睡眠の品質向上をシンプルに追求できる
watchOS 7に新しく追加される睡眠記録機能は、スリープテックの流行を受けて即席で開発されたものではなさそうだ。リンチ氏は睡眠記録機能のアイデアの源泉は健康分野に注目しはじめた頃から生まれて、その時から慎重に開発が進められてきたものだと振り返っている。
「睡眠記録については、健康のため最も重要な要素のひとつであると考えて、その開発に何年もの時間をかけて取り組んできた。ところが睡眠の科学については、未だ完全に解明されていないことがわかってきたため、多くの専門家とチームを組んで研究調査をさらに積み重ねてきた。アップルが睡眠の分野でどのように貢献できるか、また社内で数千人の研究参加者を募り睡眠のコーチングについても多くのことを学んできた」。
現代では多くの人々が日々のストレスや不安に囲まれながら暮らしている。だからこそ十分な眠りを得ることは健康維持のため重要な意味を持つ。「睡眠記録がApple Watchのユーザーに良質な眠りを得るための力になれることを私も願っている」と、リンチ氏は言葉に気持ちを込めて語った。
Apple Watchは睡眠記録の本命デバイスになれるか
睡眠中にApple Watchが記録したデータはiOSデバイスのヘルスケアアプリに記録される。アップルが健康・フィットネス系アプリを開発するためのフレームワークとしてデベロッパに提供する「HealthKit」を使えば、ユーザーにデータへのアクセス許可を得たうえで、睡眠記録と連動するアプリやサービスも開発できる。watchOS 7のリリース以降、Apple Watchを核とした睡眠体験に広がりと厚みが生まれそうだ。
秋に正式リリースを予定するwatchOS 7には「睡眠」以外にも文字盤のカスタマイゼーションなど様々な機能追加が予定されている。
睡眠記録機能が加わることによって、Apple Watchをスリープトラッキングデバイスとして積極的に活用するユーザーもまた増えるに違いない。さらに普及が進むApple Watchが「眠りの意識改革」を巻き起こすのだろうか。秋に迫るwatchOS 7の登場に注目が集まる。