テクノロジー

2020.06.24 06:00

デザインを民主化するユニコーン「Canva」の企業価値が6400億円に

bangoland / Shutterstock.com

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デザイン関連のツールはパンデミック以降に市場を急拡大させているが、この分野のユニコーンとして知られる「Canva」の企業価値が60億ドル(約6400億円)を突破した。

Canvaは6月22日、ブラックバードとセコイア・チャイナが主導するラウンドで、6000万ドルを調達したとアナウンスした。既存出資元のBondやFelicis、ゼネラルカタリストらも参加した今回のラウンドで、Canvaの企業価値は60億ドルとされ、昨年10月の資金調達時の評価額32億ドルから、価値を約2倍に伸ばした。

同社の共同創業者のCliff Obrechtは、新たな資金でプロダクトの増強を行ない、テキサス州オースティンに新たな拠点を設けると述べた。

オーストラリアのシドニー本拠のCanvaは、既に黒字化を達成済みだ。同社のツールは50万以上の組織で利用され、有料サブスクリプションのCanva Proの会員数は150万人に達している。

Canvaはフリーミアムのビジネスモデルをとり、月間3000万人以上の利用者の多くが無料で活用中だ。Canvaのツールは9万校の学校や大学で採用され、アメリカン航空やワーナーミュージック、Hubspotなどの企業でも利用されている。

Canvaの設立は2007年にさかのぼる。オーストラリアのパース生まれのCliff ObrechtはガールフレンドのMelanie Perkinstと2人でデザイン企業を立ち上げた。その後、2012年に3人目の共同創業者のCameron Adamsが加わり、デザインの知識を持たない人々にも利用可能なソフトウェアの開発にフォーカスを開始した。

Obrechtによると、パンデミックの発生後にCanvaでのデザイン制作数は50%以上も増加したという。「感染拡大が始まった頃は、どんな嵐がやってくるのか予想不可能だった。一時的にオフィスは閉鎖したが、外部のスタッフへの支払いは継続し、レイオフも行わなかった」と彼は話した。

しかし、在宅勤務が広がる中で、Canvaのコラボレーションツールの利用度は以前よりも高まったという。Canvaの年間売上は昨年12月に2億ドル規模に近づいたが、2020年はさらに倍増する見通しだ。

フォーブスは昨年12月時点で、PerkinsがCanvaの株式の15%を保有し、Obrechtの持ち分はそれをやや下回ると推定していた。現在の2人の保有資産は少なくとも15億ドル以上ということになる。

PerkinsとObrechtのカップルは昨年婚約したが、その際にObrechtが贈った指輪はわずか30ドルだったという。

「目標を達成する度に、次のゴールが見えてきて、もっとやらねばならないことがあると考える」とObrechtは話す。「可能な限りのバリューを顧客に届けていきたい」と彼は続けた。

編集=上田裕資

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