5月20日、CanvaはシリーズDとして7000万ドルを調達したと発表した。調達後の評価額は25億ドル。今回の引受先は米国を拠点とするGeneral Catalyst、Bond、Felicis Venturesと、Canvaのシドニー本社から歩いて数分の距離にあるBlackbird Venturesだ。これまでの累計調達額は1.66億ドル(約180億円)に上る。10回目となる本調達で得た資金は、マーケティングなどに使用予定だという。
今や世界190カ国で1500万人を超えるユーザーを抱え、Fortune 500のうち80%以上の企業がCanvaを使用。毎月3400万以上という莫大な数のデザインがCanvaサイト上で作成されている。
2017年には、オーストラリアでの最も働きがいのある会社として選出され、今年エンジニアインターンを募集した際には2800人の応募があったという。シドニー本社で働くスタッフは550人を超え、2019年4月には、より規模の大きいビルにオフィスを移した。
新本社ビルでは、移民国家と言われるオーストラリアらしくダイバーシティに富んだスタッフが勤務し、40以上の言語が飛び交う。
Forbes JAPANでは新しいオフィスに移動してから、初となるインタビューを実施。ユニコーン企業になるために必要なマインドセットや方法論、日本市場の展望について話を聞いた。
「起業家として大切なことは、将来のビジョンを明確に描くこと」
共同創業者兼CEOを務めるメラニー・パーキンス氏は、「ユニコーン企業として一定の成功を収めるまでの道は、決して簡単ではなかった」という。
スタートアップすると、たくさんの責任を背負い、常に仕事に追われる。チームメンバーの採用に全力を尽くしても成果が出ないなど、困難は山ほどあった。それでも情熱を失うことなく、会社を成長させ続けた秘訣について聞くと、彼女はこう答えた。
「共同創業者とビジョンや夢について話す時間を大切にしている。どんな会社にしたいか、5年後にどこにいたいか、10年後にどうなっていたいか、イメージがクリアであれば、困難な時期を乗り越えるのが少し楽になる」
事業が思うように進まないときでも、歩むべきイメージをしっかり持てばそれに向かって突き進んでいけるのだ。
「起業家として大切なことは、夢や描いたり、どんな風になりたいかイメージすること。そして、そのことにたくさんの時間を使うことです」
一見、実務とはかけ離れているように感じるが、ビジョンを作り上げる「時間投資」こそが起業家にとって最も大切な仕事なのだ。「実現したいことがまだたくさんある」と語るパーキンス氏の目は輝いていた。