ユーブイアイは、もともと車両底部に爆弾や武器が取り付けられていないかを自動で検査する「Atlas」という装置を製造していた。同社は、この技術を応用しドライブスルー型の車両品質管理システムを開発し、ボルボやダイムラー、トヨタなどの自動車メーカーに提供している。この装置は、組立ラインの途中でも最後尾でも設置が可能だ。
ユーブイアイは非上場でトヨタグループの豊田通商やボルボ、W.R. Berkley、Fit Venturesなどが出資している。
同社CEOのAmir Heverは、直ちに上場することは考えていないが、あらゆる選択肢を検討しているという。
「米国では、自動車のアフターマーケットと安全保障の領域で大きな可能性を感じている。我々は他社にはない独自技術を保有しており、車両検査のグローバルスタンダードになることを目指している。自動車メーカーやフリート業者、ディーラー向け以外にも、施設や国境管理におけるセキュリティ対策での利用を想定している。まずは提供ソリューションを拡大し、その後に適切なパートナーや財務面でのオポチュニティを見極めたい」とHeverは話す。
ユーブイアイは今後、米国で以下の取組みを計画している。
・4カ月以内に、ニューヨークとオハイオ州に営業と製品開発の拠点を設置する。
・ミシガン州、オハイオ州、テキサス州、米国南東部に新たな生産設備を追加する。
・現地の営業チームを編成する。
ユーブイアイは、市場拡大だけでなく製品ラインも拡充し、新たに「Helios」と「Artemis」という2つの製品をリリースした。Heliosは、車両の下回りをスキャンし、フレームやブレーキ、排気システムの損傷や液漏れを検知するシステムだ。Artemisは、カメラを使ってタイヤの仕様や摩耗状況、サイドウォールの傷などを自動検出する。
Artemis (C) Uveye
東京にも拠点を開設
ユーブイアイは、検査システムを用いて乗員の体温を測定し、新型コロナウイルスに感染している疑いのある発熱者を検出できることに気が付いた。同社は、新型コロナウイルス対策として警察や救急車、食糧や衣料品のデリバリーサービス企業にシステムを無償提供している。
このサービスは、同社に新たなビジネスチャンスをもたらした。「新型コロナウイルスの影響下でも営業を継続したいディーラーや修理工場から多くの引き合いがある。我々は、欧州最大級のフリート業者向けに乗員の体温を検知するシステムを提供する予定だ。他にも、自動車メーカー系のディーラーが関心を寄せている。米国の顧客にはまだ提供していない」とHeverは話す。
ユーブイアイは、テルアビブ以外にコネチカット州スタンフォードと東京に拠点を持ち、年内にはドイツのミュンヘンに欧州本部を設置する予定だ。同社の事業は急成長を遂げ、利益も順調に積み上がっている。
今後は、ディーラーや中古車オークション、フリート業者向けの新たな自動車検査システムをリリースする予定だという。