経済・社会

2020.06.16 16:30

ハワイで7月は観光業再開ならず。ビーチは「条件付き」で復活


しかし飲食店の営業再開許可が出てからわずか1週間ほどで、新たな問題も生じている。

営業再開できるとはいえ、従業員や店舗の衛生管理、顧客への対応など飲食店の負担は大きい。おまけに席数は従来の半分以下にしなければならないとあって、売り上げもこれまでの半分以下の見込みだ。そのため、十分な収益を上げられないと判断した店が閉鎖する事例が相次いでいる。ハワイレストラン協会の前エグゼクティブディレクターによると「ハワイにある飲食店の4分の1は、閉店に追い込まれる可能性がある」と予想。特に旅行客の割合が多かったレストランでは、旅行客数の激減に加え、このガイドラインが追い打ちをかけているようだ。


ハワイの土産物店。観光客がいなければ売り上げも見込めない(Getty Images)

ハワイ諸島間移動の規制緩和、観光業再開へのステップに


ハワイでは小売店でも飲食店でも、旅行客に依存しているビジネスが多い。そんな事業者の多くにとって気になるのは、ハワイの観光業がいつから再開されるかということだろう。観光業再開のキーとなるのが、6月16日から実施される、ハワイ諸島間での規制緩和だ。ハワイでは、オアフ島やハワイ島、マウイ島などの諸島間を往来する地元民や観光客も多いが、4月1日より諸島間の移動でも14日間の自己隔離を義務付けていた。この措置の解除に伴い、空港では体温測定が実施され、体温が華氏100.4度(摂氏38度)以上の場合や、滞在先などの書類提出を拒否した場合は搭乗が禁止される。

また空港で顔認証機器を導入し、搭乗者の身分確認などを効率化する案が検討されていることも報じられている。このような空港での検温やスクリーニングのプロセスが効率的に機能するか、まずはハワイ諸島間での移動者を対象に実証実験が行われ、その上で海外からの旅行客への受け入れ態勢が整えられるとみられている。

一方、観光客受け入れの規制緩和は、感染者数の比較的少ない地域や国から優先的に行われることも考えられる。アメリカ本土では依然として感染者数が多く、その点日本や韓国などの国々は、ハワイで早期に受け入れられる対象国となる可能性もあるだろう。

しかしハワイ内での経済活動が少しずつ再開されるにつれて、新規感染者数が5人や9人などと増加している日も多い。また、もっとも感染リスクが高いとされるスポーツジムや映画館、ボーリング場などは、6月19日より営業再開が許可されており、それらの動向についても予断を許すことはできない。ハワイでの状況を見守りつつ、ぜひ8月からの観光業再開に期待したい。

文=佐藤まきこ

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