途切れる睡眠、動脈硬化と関連 心疾患リスクに警鐘

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夜、ぐっすり眠れていますか? 途切れ途切れの睡眠になってはいませんか。カリフォルニア大学バークレー校の研究チームは、断続的な睡眠がアテローム性動脈硬化につながることを突き止めた。アテローム性動脈硬化は、週平均1万2000人の米国人が亡くなる心疾患の原因にもなる症状だ。

米科学誌「プロス・バイオロジー」の6月4日号に掲載された論文によると、チームは統計モデルを用いて中高年の患者1600人あまりの診断データを分析。論文の上級著者のマシュー・ウォーカーによると、その結果、断片化した睡眠は慢性的な循環性炎症を通じて、冠動脈のプラーク(悪玉コレステロールなどが蓄積したもの)量の増加と関連していることがわかった。

チームによると、人間で睡眠の断片化と炎症、アテローム性動脈硬化の関連性が確認されたのは初めてとみられるという。論文では、質の悪い睡眠は心疾患の主要なリスク要因だと警鐘を鳴らしている。

アテローム性動脈硬化は成人初期に始まることが多いが、プラークが中高年になって突然破裂し、心臓や肺、脳などの血流を遮断するまで気づかれくい。「サイレントキラー(静かな殺し屋)」と呼ばれるゆえんだ。

論文の共同筆頭著者のヴィヨマ・シャーは「この病気は知らないうちに進行するので、中年期の初めごろからは睡眠衛生に気をつける必要がある」と述べている。

睡眠パターンの自己評価があまり当てにならないこともわかったといい、チームはより正確な把握のために臨床レベルの睡眠トラッカーを使うことを推奨している。

断片化した睡眠と慢性的な炎症は大うつ病やアルツハイマー病とも関係がある可能性があり、チームは今後研究を進める必要があるとしている。

編集=江戸伸禎

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