左/「新政」蔵元の佐藤祐輔氏。右/MCを務めた WSET(Wine & Spirit Education Trust)Sake Educator である鈴木更紗氏。
セミナーは蔵元の佐藤祐輔氏とともに酒蔵をめぐるバーチャルツアーからスタートした。木桶が並ぶ仕込み蔵から、蔵元がこだわる、小分けにして発酵させる「麹蓋(こうじぶた)」の模様まで、造り手の話を聴きながら飲むのはなんとも贅沢な経験だ。ほかに、「新政」がこだわる生酛づくりや酵母など、テクニカルな情報も惜しみなく開示され、日本酒好きには垂涎のセミナー内容となった。
なにより、日本酒イベントなどに出かけても、蔵元の周囲は大勢のファンに取り巻かれており、話を直接聞く機会などまずないに等しいが、ここではゆっくりと、それも彼らの造った酒をのみながら聞くことができるのがうれしい。
このオンラインテイスティングは佐藤氏にとっても初めての試みだったそうだが、予想に反して20~30代の女性が多く参加するなど、日本酒マーケットの裾野を広げる機会ともなった。主催したJAPAN CRAFT SAKE COMPANYは「新型コロナウイルスによる自粛期間が終わっても、このプロジェクトはこの先の日本酒業界にとって必要な取組みだと考えていますので、今後も継続していく予定」であり、「今後も、蔵元xワインソムリエの対談、女性の蔵元同士による対談、特定の地域にスポットを当てた回など、さまざまなゲストによるコラボレーションを企画」していると明かしてくれた。
私たちにとって“新しい生活様式”とはなにか。まだ手探り状態であるものの、北海道から沖縄まで日本全国の愛好家が気軽に一堂に会し、日本酒を学び、味わうことができるのはポジティブな変化であるに違いない。今後の「SAKE(酒)x NOMY(学)」にも注目したい。
「SAKE(酒)x NOMY(学)」
今後の開催予定は、以下Sakenomy公式HPにて発表
https://www.sakenomy.jp/featureSake