ビジネス

2020.06.15

問題解決を通じて上客を引き寄せる方法

Thomas Barwick/GettyImages

見込み客が顧客になってくれるのは、解決したい問題があるからだ。

セールストレーナーのスティーブ・ジョンソンは「人間は、痛みや不快感を避けたいという性質が脳に埋め込まれている。そのため、顧客の持つ問題が大きく痛みを伴うものであるほど、関心を引きつけるのは容易になる」と語る。

ジョンソンはかつて働いていたSaaS(サービスとしてのソフトウエア)企業で営業チームの育成と売り上げアップに取り組んだ際、見込み客の「痛点」を察知する熱追尾式ミサイルとなることで成功を収めた。現在は、企業の抱える痛点を利益へと変えるセールスの方法論とベストプラクティスに関するコンサルティングを提供している。

ジョンソンによれば、顧客の関心を引きつけるには、シンプルな2つのステップが必要だという。

第1のステップは、顧客たちが抱える典型的な問題を2つか3つ特定すること。解決することで、売り上げ増とコスト減を実現したり、法的問題や現金不足などのリスクを減らしたりする上で、最大の価値を生み出せるような問題点は何か? 

「ベンダーであるあなたは、顧客のために解決する共通の問題に基づき、この分野の専門家になるべきだ」とジョンソンは言う。「こうした主要な問題を特定したら、いくつかの既存顧客と話をして、自分の考えが正しいかどうかを確かめよう。顧客の話に驚かされることも多いだろう。私の経験では、ベンダーの解決策を顧客がどのように使うかを知ることは常に、関心を引きつけるメッセージや質問の改善につながる」

第2のステップは、顧客の視点に立って対話すること。人は自然と自分の見方を第一に考えて、同じ状況を第三者がどう見て感じるかは必ずしも考えないため、これは難しいかもしれない。

「できれば、解決策を顧客へ示す前に、顧客の問題と、解決により得られるメリットとを関連付けるのが理想的だ」とジョンソンは言う。「例えばマーケティングの場合、そうした主要な問題にからめたメッセージを発信し、顧客の関心を引きつけること。経理サービスを提供する会社なら、見込み客に業界での実績の長さや顧客の数をアピールするよりも、不正確な給与計算により政府から罰金を科される可能性や、誤りの修正によって無駄にする時間について見込み客に指摘した方が良い」

「営業の場合は、見込み客が抱えている問題の詳細を知るための質問を投げかける。相手がどんな解決策があったらよいと思っているかを確認した上で、正しい解決策を提案すること。『これが今すぐに解決すべき最大の問題だと感じるのはなぜでしょう?』や、『この問題に対する解決策を考えるにあたり、御社の方で検討したことはありましたか?』と質問してみる。相手がまず解決策のコンセプトを共有し、それに自分の提案を関連付ければ、契約につなげられる確率が高まる。こちらからの意見を押し付けて説得しようとするのではなく、相手のアイデアを使って関心を引くことができるのだ」

編集=遠藤宗生

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