プロレスジャーナリストのアダム・パチッティは、自身のツイッターに「木村花さんの死は疑問の余地のない悲劇です。どんな人であれソーシャルメディアでの交流はメンタルヘルスに深刻な影響を与えうるということが、今回の件で広まってほしい」と投稿した。
The death of Hana Kimura is an absolute tragedy. I hope this serves as a reminder that interactions on social media can have a serious effect on the mental health of anyone, no matter who they are. Be kind. RIP.
— Adam Pacitti (@adampacitti) May 23, 2020
またダコタ・カイのリングネームでWWEに所属するレスラーのチェリー・クロウリーも追悼文をツイート。誹謗中傷を行う人々に対しては「目を覚ませ。木村さんたちは現実に存在している人間であって、テレビ番組や映画のキャラクターではない」と綴った。
社会問題化している「リアリティ番組」出演者の死
英タブロイド紙ザ・サンによれば、リアリティ番組に出演して名声を獲得した後に自殺の疑いで死亡した者は、1986年から2019年までで38人にも上るという。
リアリティ番組とは、プロの俳優などではない一般の出演者が、現実の予測不可能な状況に直面するありさまを映し出すテレビ番組のジャンルだ。多くのリアリティ番組では「事前の台本や演出はない」という設定になっており、現実とフィクションのはざまを映し出すかのような内容が、若者を中心に多くの視聴者の心を捉えている。
イギリスの人気リアリティ番組「ラブアイランド」はスペイン・マジョルカ島のリゾート施設で若い男女10人が寝食を共にし、そこで恋愛が発展する模様を「観察」するものだが、同番組の元司会者や出演者らの自死が相次いでおり、イギリスで物議を醸し出しているという。
元出演者の一人で、 2018年6月に自ら命を絶ったソフィー・グラドンさんは、イギリスの地方ラジオ局Radio Aireに生前以下のように答えていた。
「コメントに次ぐコメント。番組の中で出演者がどのように見えているかやその口ぶりについて彼らはコメントしてきます。 45分間のテレビ番組を見て、何か意見を言いたくなるのだと思います。 番組の中で映し出されているのは、24時間のうちから切り取られたたった10分程度だったとしても」
「人としてどうなのかを判断されているかのように受けとってしまうので、それに対処するのは非常に困難でした。 彼らが出演者のことを何も知らなかったとしても、 コメントは心の中に深く入り込んで、現実的に影響を及ぼしてきます」