マルチクラウドの監視プラットフォームを運営する「Datadog(データドッグ)」の株価は5月12日の市場で23%の急騰となり、最高値を更新した。これにより同社CEOのOlivier PomelとプレジデントのAlexis Lê-Quôcの保有資産額はそれぞれ、16億ドル(約1700億円)を突破した。
Datadogの株価の上昇は11日の第1四半期の決算発表を受けてのものだ。ニューヨーク本拠の同社は、サムスンやホールフーズ、コーネル大学を含む企業や組織にクラウドの監視やアナリティクスのためのプラットフォームを提供している。Datadogの今四半期の売上は1億3120万ドルで、前年同期比87%増だった。この結果はアナリスト予想平均を10%以上上回っていた。
1株あたり利益は6セントで、市場予想は2セントのマイナスだった。
「第1四半期の業績は非常に満足のいくものとなった」とPomelはカンファレンスコールで述べた。「パンデミックによりデジタルファーストの流れが加速し、クラウドの監視の重要性が高まり、長期的視野からDatadogのサービスの価値が裏づけられた」とPomelは続けた。
Datadogは2019年9月にナスダック市場に上場し、6億5000万ドル近くを調達し、初日の時価総額は109億ドルに達した。同社の株価は5月初旬まではIPO価格と同水準で推移したが、リモートワークの長期化が予想される中でSlackやTwilioらと並んで急上昇を遂げた。
Datadogの株価は現在、IPO価格から80%以上の上昇となっている。S&P 500は同期間に5%のマイナスだった。
Pomelによると、Datadogはパンデミックの発生以降の2カ月で業績を拡大中という。同社の顧客企業数は第1四半期の末時点で1万1500社に達していたという。
PomelとLê-Quôcらは2人ともCTOを兼任しており、2010年にDatadogを共同創業した。彼らはそれぞれ、発行株式の約6%を保有している。
フランス出身の2人は、工学・技術系エリート養成のための公立高等教育機関エコール・サントラル・パリで知り合い、2010年にNews Corpに買収されたニューヨークのSaaS系企業Wireless Generationに勤務していた。Wireless Generation時代にPomelはK12の教師向けのデータシステムを構築し、Lê-Quôcはオペレーション部門のディレクターを務めていた。
「当社のチャレンジはまだ始まったばかりだが、これまでの経験を通じオンラインへの依存度がますます高まり、クラウド分野の成長が続くことを確信している」と、Pomelは話した。