アナリストのデービッド・メリクルとロニー・ウォーカーらは5月12日のレポートで、ピーク時の米国の失業率予想を従来の15%から25%に引き下げた。25%という失業率は、大恐慌時代の1933年の記録と同水準となる。
ゴールドマンはさらに、2020年第2四半期のGDP予想を年率39%減に引き下げた。従来の予想は34%減だった。
一方で、第3四半期のGDPは29%増となり、従来予想の19%増を上回るペースの回復を見込んでいる。通年のGDPは6.5%減となる見通しだ。
経済ダメージの多くは消費動向の変化によるもので、3月と4月の外食分野への支出は半分以下に減少すると予測された。ヘルスケア分野への支出も選択肢が限られる中で落ち込むと見られている。
自動車製造もほぼ停止状態にあり、4月の製造業生産高は26%減と予想されている。ソーシャルディスタンスが常態化する中で、感染拡大と直接関わりのない専門的サービスの需要も落ち込む見通しだ。
最大のダメージを受けるのは交通やエンターテイメント、宿泊などの業界で、3月から4月にかけての売上は80〜95%の減少になる見通しだ。
米国の一部の州や都市が、経済再開の動きを進める一方で、保健当局やエコノミストらは警戒を呼びかけている。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は12日、経済活動の時期尚早な再開は新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大を再発させる可能性があると警告した。
ゴールドマンも、ソーシャルディスタンスの緩和が感染拡大の再発につながる危険性を指摘した。「検査体制や感染追跡体制が不十分な州が経済活動の再開に踏み切った場合、重大なリスクが生じる可能性がある」とアナリストらは述べた。