米失業率は25%超える可能性も、政府関係者らが見解

米財務長官のスティーブン・ムニューシン(右)/ Photo by Drew Angerer/Getty Images

米労働省が5月8日に発表した雇用統計で、4月の失業率が14.7%に急上昇したことが明らかになった。ホワイトハウスの複数の当局者はこれを受け、1930年代の世界恐慌以降で最悪の水準となった失業率が、「向こう数週間のうちに改善することはない」との見方を示している。

スティーブン・ムニューシン財務長官は10日、失業率は「改善に向かう前に、さらに悪化するだろう」と発言。フォックス・ニュースの番組で、「25%近くにまで上昇する可能性がある」との見解を明らかにした。

また、ホワイトハウスの経済顧問、ケビン・ハセットは同日、CNNの番組に出演。「次に発表される雇用統計では、「20%に達する」との見方を示している。

そのほか米国家経済会議(NEC)のラリー・クドロー委員長もABCニュースに対して8日、「不快なことだが隠したくない…5月の統計は、厳しいものになると思う」と述べている。

同委員長はまた、議会がすでに可決した対策の「経済的影響」を見極めるため、議員らは「一呼吸置く」必要があると主張。第4弾の景気刺激策については、「正式な協議」はまだ始まっていないと付け加えた。

財務長官は「慎重に対応」


ムニューシン財務長官は、「経済はさらに悪化するだろうが、追加の景気刺激策について新たな法案を成立させるには時間がかかる可能性がある」との考えを示している。

「大統領と私がいま言っているのは、私たちはすでに多額を費やすことを決めたが、その多くはまだ、経済に投入さえされていないということだ」

「これから数週間、待ってみようではないか──これらの問題について理解するため、共和党とも民主党とも話し合っている。大統領と私は、外部の人たちとも協議している」

トランプ大統領は、次の経済対策には給与税の減免を盛り込みたい考え。ミッチ・マコネル上院院内総務(共和、ケンタッキー州)は、まずは企業を訴訟リスクから保護する必要があると主張している。

一方、民主党は、新型コロナウイルスの感染拡大によって各州政府や自治体の支出が増大しているとして、連邦政府による救済を強く求めている。ナンシー・ペロシ下院議長(民主・カリフォルニア州)によれば、これに関する法案は1週間以内にも議会に提出することが可能だという。

共和党の一部や民主党の多くは、(非常事態が宣言された3月中旬以降の)失業保険の申請件数が3000万を超えるなか、政府が十分な救済策を講じるつもりがあるのかについて懸念を表明している。

これに対して財務長官は、給与税減税は「人々が仕事を取り戻すためのインセンティブとなるもの」だと述べるとともに、第4弾となる経済対策を実施する意向であることを改めて明らかにしている。

編集=木内涼子

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