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働き方革命最前線 ─ポストAI時代のワークスタイル

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リアルならなんとなく汲み取れた相手の感情も、リモートになったとたんによくわからなくなってしまう、という声をよく耳にします。その結果、「やっぱりリアルのコミュニケーションのほうがいいね」という結論を早々に出し、工夫することをやめてしまうパターンも多く、非常にもったいないなあと感じます。

リモートコミュニケーションがスムーズにいかない原因はどこにあるのでしょうか?

例えばオンライン会議については、「全員が一方的にしゃべるので、双方向的なコミュニケーションにならない」というのをよく聞きます。しかしここで思い出してほしいのは、たとえリモートであっても、会話の本質はドッチボールではなく、キャッチボールであるということです。

これは、傾聴について説かれた「こころの対話25のルール」(伊藤守著、講談社)という本の言葉です。つまり、会話をするときは、言葉のボールを相手にぶつけるのではなく、相手がキャッチしやすいように投げ合うのが大事ということです。会議でもチャットでも、リモートコミュニケーションで失敗してしまう原因の多くは、沈黙や間を埋めようとするあまり、自分の主張しか見えなくって、会話がドッチボール化してしまうことにあるのではないでしょうか。

では、リモートでのコミュニケーションを、キャッチボール化させるにはどうしたらいいでしょうか?

おすすめはNVCのメソッドです。NVCとは、暴力や対立、偏った物の見方を排し、対話を導くための非暴力コミュニケーション(Nonviolent Communication)の略。「暴力」は極端な表現かもしれませんが、知らずしらずのうちに相手を傷つけてしまうというのは、よくあることだと思います。

2014年、マイクロソフトのCEOに就任し、その後業績を上げたサティア・ナデラは、当時、組織で常態化していた対立や偏見、裏切りなどの歪んだコミュニケーションを改善するため、就任後すぐに「NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法」(マーシャル・B・ローゼンバーグ著、日本経済新聞出版)という本を経営陣に配っています。

NVCにおける重要なステップは次の通りです。

1. 評価をまじえず、行動を「観察」する
2. 観察したことに対して抱いている「感情」を突きとめる
3. そうした感情を生み出している要因、「何を必要としているのか」を明らかにする
4. それを具体的な行動として「要求」する

僕は、リモートコミュニケーションで特に意識するといいのは1〜3だと思います(経験上、3までを解決すれば、4は自ずと見えてくることが多いです)。特に多くの人がつまずきがちなのが1でしょう。

そもそも、人は相手の感情を見ているようで、実は自分の評価を勝手に押し付けがちです。例えば部下が不満を言っているときに、つい「それは君が若いからだよ」と言ってしまったり、同情しているつもりが「今引きこもっているからぴりぴりしてるんだよ」なとど言ってしまったり。すると相手は、理解してもらえないと感じて感情を閉ざしてしまうのです。

文=尾原和啓

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