ビッグ・テン大学には、米国屈指の公立研究機関も含まれる。秋の新学期がほぼ通常通りの状態で開始できなければ、次年度も同程度、あるいはさらに大きな損失を被る可能性がある。
加盟14校のうち、12校が推定損失額を公表している(パデュー大学の推定額は見当たらず、インディアナ大学の数字は筆者が独自に推測した)。算定基準は大学によって異なるため、推定額が単純に比較可能であるとは限らない。ほぼ全ての大学の推定額には、寮費の返金分が含まれている。この他、授業のオンライン化や、スポーツなどのイベント中止に伴う収入減、大学医療センターの活動縮小など、運営の変化に伴う想定外の支出を加えている大学もある。
公的補助金の減額分を計算に入れている大学と入れていない大学とがある。また、入学者数の減少に伴う夏から秋にかけての予想損失額を含める大学と含めない大学があった。
各校の推定損失額は以下の通り。
・インディアナ大学:収入減少分を補うため、次年度の一般予算の5%削減、全キャンパスで計8500万ドルの削減を発表した(予算削減額にはビッグ・テン加盟校であるブルーミントン校以外も含まれており、キャンパス別の内訳は公表されていない。暫定的にブルーミントン校の削減額を全体の半分に当たる4250万ドルとしたが、実際の損失額はこれより多いと思われる)。同大の理事会は最近、コロナウイルスの影響で見込まれる収入減を補う目的で10億ドルの借入を承認した。
・ミシガン州立大学:6000万ドル。
・ノースウェスタン大学:2500万ドル(春学期の寮費返金分のみ)。
・オハイオ州立大学:3500万ドル(住居費、食費、レクリエーション費の返金分のみ)。
・ペンシルベニア州立大学:2億6000万ドル。
・ラトガース大学:2億ドル。
・イリノイ大学:7100万ドル。
・アイオワ大学:7600万ドルに加え、大学病院の7000万ドル。
・メリーランド大学:8000万ドル。
・ミシガン大学:3キャンパス(アナーバー校、ディアボーン校、フリント校)と大学病院で計4億~10億ドル。(筆者はビッグ・テン加盟校であるアナーバー校の損失分を4億ドルとした)
・ミネソタ大学:最大3億ドル。
・ネブラスカ大学:少なくとも5000万ドル。
・ウィスコンシン大学:1億ドル。