米議会は、サンダースの社会主義政策を超える景気刺激策を、共和・民主両党の圧倒的な支持の下で可決した。同政策は前例がない規模の法人・個人向け社会主義的政策であり、2020年最大の皮肉だ。
真の資本主義社会では、企業は失敗し破産することが許される。米市民は出費を抑える必要があり、政府からの施しを期待してはいけない。
世界恐慌期から第2次世界大戦まで米大統領を務めたフランクリン・ルーズベルトは、社会保障制度の設立など、それまでになかった社会政策を実施した。米国はそれから長年かけて、より親身な社会政策の導入を続けてきた。そして今、米国はそれをさらに極端にした政策を実施しているのだ。
以下に、サンダースが大統領選で挙げた公約と、事業・経済・個人向けの救済措置「コロナウイルス支援・救済・経済保障(CARES)法」の内容を比較する。
サンダースは、自身の公式ウェブサイトで次のような施策を掲げていた。
・米市民全員が無料(受診時の支払い額もなし)で医療サービスを受けられる国民皆保険制度「メディケア・フォー・オール」の設立。
・公立大学、歴史的黒人大学(HBCU)、少数派支援機関(MSI)、職業学校の無料化。
・米国人約4500万人が抱える学生ローン約1兆6000億ドル(約170兆円)の返済を免除し、今後の学生ローンの利率上限を1.88%とする。
・社会保障給付金受け取りを全員に拡大し、年金を保護する。
・全国を対象とした賃料基準の設定や、「正当な根拠」なしの立ち退き命令の禁止、住居に関する紛争で弁護士を呼ぶ権利の確保を通じた賃借人保護。
・全ての人に対する無料で質の高い保育サービスの提供。
一方、CARES法は、経済に直接資金を注入する政策としては米国史上最大だ。(米経済が打撃を受けた原因の一部は、連邦政府や州政府の新型コロナウイルス対応が遅れたことにある)
米議会は、米国の国民や企業に対する支援に2兆ドル(約220兆円)という前例のない規模の資金を投じることを承認した。休業命令や外出制限により個人と企業の両方に致命的な打撃がもたらされており、米連邦準備銀行(FRB)は米国での失業者が近い将来5000万人近くまで膨れ上がると予想している。