CARES法で、大企業や一般人に支給される資金は次の通りだ。
・年収が7万5000ドル(約810万円)以下の個人は1200ドル(約13万円)、世帯年収が15万ドル(約1620万円)以下の既婚カップルは2400ドル(約26万円)の直接給付。
・上記に加え、子ども1人につき500ドル(約5万4000円)の給付。
・米国人の約90%は給付金の全額または一部を得る資格がある。
・失業保険制度は大きく強化され、期間の13週間延長や、州からの給付額への週600ドル(約6万5000円)の上乗せなどが含まれる。
・新制度では、フリーランサーや一時帰休を言い渡された従業員、ギグエコノミーの労働者が初めて失業保険の給付対象に追加された。
・この制度改定にかかる費用は推定2500億ドル(約27兆円)。
・小企業支援の連邦政府保証融資のため約3670億ドル(約40兆円)が確保された。一定期間にわたり労働者を解雇しないことを条件に融資が受けられる。
・経営難に陥った企業は、FRBが管理する4250億ドル(約45兆8000億円)の基金から融資を受けられる。航空会社やホテルには追加で750億ドル(約8兆1000万円)がローンや助成金として用意される。
・病院などの医療機関には1000億ドル(約11兆円)が用意される。
・食料配給券や子どもへの食事提供のため、さらに約250億ドル(約2兆7000億円)が用意される。
・大学や州、学区への緊急教育資金は約300億ドル(約3兆2000億円)に上る。
・学生ローンの支払いは、9月30日まで罰則なしで猶予される。
これで終わりではない。ワシントンの政治家らはさらに数兆ドル規模の追加景気刺激法案の策定に取り組んでいる。
CARES法はサンダースの公約と直接合致しているわけではないが、想像し難いほどの巨額が人や企業に給付されるという点では気味の悪いほど似通っている。大きな違いは、航空会社や航空機製造業者など多くの業界が救済される点だ。
CARES法は、新型コロナウイルスの発生により劣悪な経営判断(株の買い戻しにより私腹を肥やす行為や、傲慢さから緊急事態に対する資金のたくわえが不足していたことなど)が露呈した企業に対し、褒美を与える形となっている。
資本主義者を自認する米大統領が、現代米国史上最大の社会主義政策を推し進めるなど、2020年になるまでなかったことだ。