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2020.04.14

画期的「巻き込み型」 北海道12件目の酒造が誕生

上川大雪酒造

北海道出身で元証券マンだった塚原敏夫氏と、同じく北海道出身の三國清三シェフのもとにもちこまれた北海道上川町の活性化プロジェクト。年間の平均気温がわずか5℃、人口3500人という小さな町にオーベルジュを建設したものの、冬季の集客に苦しんでいた。

「上川町は大雪山のふもとにあって日本とは思えないダイナミックな自然美が楽しめるところです。ただ、10月から5月まで雪に閉ざされるため、冬の町を盛り上げる産業が欲しかった。日本酒の酒蔵は需給調整のため新規免許を取得するのは難しい状況ですが、旧知の三重県四日市の酒蔵が休業していることを偶然知り、いままで前例のなかった遠隔地への酒造免許移転を実現させました。国税当局と連携し誕生した酒蔵は『地方創生蔵』と呼ばれています」

こうして北海道に12軒目の酒蔵が誕生した。さらに20年には帯広畜産大との提携によりキャンパス内に酒蔵を建設。全国で初めて大学内で企業が日本酒を醸造し、販売するという画期的な試みだ。


 20年7月に完成予定の帯広畜産大内の新酒蔵。

一方で帯広畜産大は、22年に同じ道内の、北見工業大、小樽商科大との国立大3学経営統合が予定されており、大学内の酒蔵はまさに農業、加工、マーケティングと一気通貫で第6次産業を学べる教育施設となる。

新しい酒蔵がそのシンボルとなれるか、注目を集めている。


上川町の有志から成るチーム「酒蔵支えTaI」が週末を中心に酒造りをサポートしている。

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上川大雪酒造代表取締役社長 塚原敏夫

photographs by Kenta Yoshizawa text and edit by Miyako Akiyama

この記事は 「Forbes JAPAN 4月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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