それでは以下、AWSを少し掘り下げて見ていこう。
■最上層
最上層は「AIサービス」。AWSを、「広大なインフラストラクチャーを提供するサービス」にすぎないと思っていた人々を驚愕させる、いくつもの素晴らしいAPIがそろっている。
画像認識、音声処理、テキスト処理、チャットボット、そしてもう一段階高度な機能を実現する、レコメンデーション、時系列データ予測、不正検出など、すべてアマゾンが独自に開発したAPIだ。さらに最近では、コンタクトセンター分析を行う機械学習機能、「Contact Lens for Amazon Connect」を発表した。
■中間層
中間層は「機械学習(ML)サービス」。これはAmazon SageMakerのことを指す。昨年のAWS製品発表イベント〈re:Invent〉では、機械学習のワークフローのステップを最初から最後まで管理する統合開発環境(IDE)、Amazon SageMaker Studioが紹介された。
データの準備から、データの要素を管理し他の開発者とシェアするトレーニング、モデルのホスティング、デプロイ、モデルの効果測定までを網羅している。機械学習経験のないデータの専門家に対象を絞り込んでいるレイヤーだ。
■最下層
そして最下層では、機械学習の開発者やデータサイエンティスト向けに特化したサービスを提供している。最も人気のあるフレームワークやインフラストラクチャー、数多くの学習方法に加え、CPUやGPU、カスタムASIC、FGPAまでカバーする推論モデルが含まれている(「Amazon Elastic Inference」は機械学習の推論を弾力的にする)。このレイヤーには欠点がない。AWSが、最新の次世代フレームワークやより優れたコンピューター処理を担うことになることを狙って作られているのだろう。
いずれにせよ、進化し続けるAI市場で、開発者向けに難易度の異なるさまざまなツールやサービスに投資している企業がいくつかあることは非常に心強いことだ。
ガートナーの見解に常に同意できるわけではないものの、「業界リーダー」に関する彼らの分析は、私たちの調査結果と照らし合わせても納得できる。
私はここ数年AWSを、多くのカテゴリーにおけるリーダーのひとつと考えてきた。そしてガートナーも「AWSこそがAIサービスにおける『絶対的な』リーダーだ」と見ていることは、私にとってもうれしい驚きだ。