AI通信「こんなとこにも人工知能」

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人工知能(AI)など大規模な演算を必要とするテクノロジーは、人間の脳の活動と比べて莫大な電力を消費するという大きな課題を抱えてきた。

近年、問題点に対する指摘は増えてきたが、過去に取材した専門家たちも、このまま多くの産業でAI(またその他のテクノロジーとの併用も含む)が広く利活用されることになれば、いずれ電力が逼迫することはほぼ確実だと口を揃えている。

世界各国の企業、研究機関では、AIの電力消費量を減らすための試行錯誤が日々進められているが、今回、韓国からも大きなニュースが報じられた。国の機関である韓国電子通信研究院(ETRI)、通信大手・SKテレコムなど企業の共同研究の結果、クラウドデータセンターなど、高性能サーバーに活用できる高性能なAIチップ(NPU)の開発に成功したというものだ。

開発されたAIチップは、コイン大の大きさの面積に16384個の演算装置を高集積。同時に各演算装置の電源を動作·遮断できるソフトウェア技術を適用し電力の消耗を最小化した。結果、毎秒40兆回のデータ処理が可能な上、電力消費は15〜40Wレベルにとどめることができる。データセンターなどに適用する際、10倍以上も電力効率が向上することが期待できるという。

なお研究チームは今年下半期から、スマート監視カメラ、音声認識技術などのサービスを提供するSKテレコムのデータセンターで、実際にAIチップの実証・事業化を本格的に進めていく計画だ。

またETRIと電子部品研究院(KETI)など協力機関は、対象を認識する「視覚知能」に特化したAIチップも共同開発した。こちらも高精度かつ低電力で、毎秒30回の物体認識が可能な性能を保有しつつ、電力消費量は従来の半導体の10分の1以下である0.5Wを実現した。

最近、データセンター・HPC企業であるノーザン・データが、ここ数カ月の間に世界の計算能力需要が激増したことを報告している。抗ウイルス治療薬物質の特定、疫学分野の計算などのため製薬会社や研究機関が演算能力をフル活用していること、リモートワークなど働き方の変容が主な理由として挙げられている。

同社によれば「既存のデータ・インフラストラクチャーが限界まで利用」され始めているのが実情だそうだ。高演算能力×低電力を要請する社会の実情は、待ったなしの状況となってきた。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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