Grindr、米国当局からの懸念を受けて中国企業が株売却

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これまでの動き


北京崑崙万維科技は2020年3月はじめ、CFIUSの要求に応じ、所有するGrindr株式の99%を、6億850万ドルで「サン・ヴィセンテ・アクイジション(San Vicente Acquisition)」に売却することに合意した。これにより、Grindrの所有権をめぐる1年間に及ぶ懸念は解消されたと、ブルームバーグは報じている。

Grindrはもともと、2009年にロサンゼルスに住む人物が開発したアプリだった。その後の2016年、中国のゲーム会社である北京崑崙万維科技が、Grindr株式の60%を9300万ドルで取得した。北京崑崙万維科技はその2年後、残りの株式も取得した。

フィナンシャル・タイムズ紙の報道によると、2019年1月から3月までの3か月間におけるGrindrの売り上げは5億5300万人民元(約7790万ドル[約84億8500万円])だった。

アメリカ政府はしばらく前から、アメリカのテクノロジー企業に対する中国の投資一般について警戒している。2016年に中国は、アメリカのテクノロジー企業に187億ドルを投資していた。この投資額は、2018年には22億ドルまでと大幅に減少したが、それはおそらく、CFIUSの審査が厳しくなったためだ。

政府機関であるCFIUSが、Grindrの取引に介入した理由はわからない。ほかの状況下で同様の介入を行ったことはこれまでほとんどなかった。1975年から2011年までの記録を見ると、CFIUSが投資を阻止したケースは1回だけだった。

2012年以降でCFIUSが投資阻止に口をはさんだのは、Grindrの件を除いて4回。明らかに回数は大きく増えている。投資取引の際には、CFIUSからの承認が必要だ。CFIUSは北京崑崙万維科技に対し、Grindr株式を手仕舞いする(決済して現金化する)よう要求していた。

今後の動き


注意すべきは、Grindrが、すべてのゲイ男性にとって必ずしもつねに安全な場ではなかったことだ。プロフィル欄では、「黒人おことわり」や、「悪いけど黒人には興味なし」といった人種差別的な表現が使われていることで知られていた。

Grindr運営側は2018年から、蔓延する人種差別や有害な言動の取り締まりを強化するために「Kindr(より親切に)」と称した取り組みを行なっている。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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