ナイキの12─2月の売上高は101億ドル(約1兆1200億円)で、アナリスト予想は96億ドルだった。感染拡大を受けてナイキは一時、中国の店舗の4分の3を閉鎖し、株価は年初から40%も下落していた。
オレゴン州本拠のナイキは3月16日から、北米や世界各地の直営店を閉鎖している。米国のモールやレストランや、店舗の閉鎖や世界的な景気後退に直面しているが、ナイキの直近の業績は、米国経済の約70%を占める個人消費の力強さを示す一例となった。Eコマース経由の売上は前年度に35%増の38億ドルだったが、12─2月はさらに加速し、36%の伸びを示した。
同社CFOのAndy Campionによると、北米のオンライン支出は過去1週間で3桁の急増を記録し、ホリデーシーズン中に見られるレベルに近づいたという。ナイキのモバイルアプリは、自宅で過ごす消費者とのエンゲージメントを高めている。
Campionによると、ナイキはここ数日で、Eコマース注文の配送キャパシティを2倍に増加させ、欧州のオンラインファッション大手Zalandoとの取り組みにも注力しているという。オンライン需要の高まりは、フードデリバリーや日用品分野でも確認されている。
ナイキはさらに、中国でみられたような消費の回復パターンが、今後の米国や欧州市場でも期待できると述べた。同社のCEOのジョン・ドナホーによると、中国では数週間の「封じ込め」段階を経てほとんどの店舗が再開し、多くの消費者がマスクを着用しながら店を訪れ、訪問客数は週を追うごとに増加しているという。また、店舗が閉鎖されている間のオンライン販売の増加は、店舗が再開された後も続いている。
「当社の製品に対する消費者の需要は依然として強い。健康とウェルネスを追求する文化は衰えておらず、世界中の人々がスポーツを毎日の習慣にしている」とドナホーは述べた。
感染拡大は、今後の小売店やモールの売上に打撃を与える見通しだ。しかし、今回のナイキの決算は消費者らが依然として、欲しいと思うものに対しては財布を開くことを示している。