輸出は特効薬ではない
米国エネルギー情報局(EIA)の推定によれば、2019年の石炭輸出量は、生産量の14%に満たない。発電所で使用される燃料炭の輸出量は、生産量の6%未満。残りは、製鋼で使用する原料炭(生産量の8%)が占める。
エネルギー経済・財務分析研究所(IEEFA)がS&Pグローバルマーケットインテリジェンスのデータをもとにまとめた報告書によると、2020年も、石炭輸出は減少傾向にある。2月22日の時点で、上位5つの石炭輸出港からの輸出量は、前年比13~69%となっている。
石炭使用量の全体的な減少は、米国鉄道協会が毎週発行するデータからも見てとれる。2020年の石炭出荷量は、2019年と比べて17%減少している。
再生可能エネルギーは、米国でも世界でも伸びている
2020年2月、再生可能エネルギーによる発電量は石炭火力を超えた。これまでの約1年間で2度目だ(前回は2019年4月)。未確定数値ではあるが、石炭火力発電の需要が高い冬季に逆転が起きたことは、石炭の衰退と、再生可能エネルギーの着実な増加を物語っている。
オクラホマ州でも、2019年発電量の40%以上を風力が占め、2017年の33%、2018年の36%から増加した。州内の再生可能エネルギープロジェクトへの投資は200億ドルを超えたが、これはおそらく、同期間における全米の石炭業界への投資額の数倍にあたるだろう。
フラウンホーファー太陽エネルギーシステム研究所の推定によれば、ドイツでは「2020年2月、再生可能エネルギーはドイツの総発電量の61.2%を占める過去最大を記録し、この月の電力供給の半分近くを風力発電がまかなった」。さらに、「この月を通して、ドイツの再生可能エネルギーセクターは、国内発電量の約60%を安定供給し、70%前後に達する日も12日以上あった」。風力発電に関して言えば、2020年2月には同国の総発電量の約46%を占めたという。