Just Walk Outはアマゾンが直営店の「Amazon Go(アマゾン・ゴー)」で用いている技術で、このほど他社への提供を始めた。レヴィによると競技場での導入は、米プロバスケットボールNBA、シカゴ・ブルズなどの本拠地としても知られるユナイテッド・センターが初めてだという。
利用開始は当初は3月16日を予定していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行を受けて同センターが閉鎖されたため、現在は未定となっている。
導入店がオープンすれば、来店者は専用の入り口でクレジットカードをかざすと、そのカードが決済手段として認証される。後は店内で品物を選んで手に取り、専用の出口から出るだけで買い物できる。購入額はクレジットカードに請求され、レシートは電子メールで送られてくる。
レヴィの調査分析部門であるE15グループの最高経営責任者(CEO)、ジェイミー・フォークナーは「待ち時間はカードを読み取らせ、その認証にかかる時間だけになるので、買い物の際は店内でどのくらいの間過ごしたいかを考えるだけでよくなります」と話す。「準備ができたらそのまま出ればいいのです」
アマゾンの実店舗・技術担当副社長、ディリップ・クマールも、Just Walk Outによって「試合やイベントの休憩時間がどれほど快適になるか、来客者に体験してほしい」とコメントしている。
レヴィはJust Walk Outについて、精算時間を短縮したり、よりパーソナライズされた買い物体験を可能にしたりするだけでなく、客の列をなくすことでコンコース全体の人や物の流れを向上させるとも見込んでいる。
スポーツ施設などの売店では普通、客はカウンターで注文できるまで5〜7分列に並ばなくてはならない。そうした列が消え、売店や屋台などの配置などを変更すれば、未来のコンコースではさらに移動しやすくなるというわけだ。
フォークナーによると、それによってレヴィはより少ないスペースでより多くの商品を扱えるようにもなる。マーケットであれ、屋台であれ、売店であれ、客が指定された入り口からエリアに入り、その中で自由に動き、指定された出口から出る、という設計は同じだ。
レヴィはJust Walk Outの導入店舗を米国内の屋内、屋外施設で順次拡大していく計画だ。フォークナーによれば、将来的にはアプリを活用してクレジットカードをかざさないで済むようにするなど、さらに便利なものにしていくことも検討しているという。
フォークナーは、Just Walk Outの導入は学習を重ねながら数年かけて進めていき、最終的にはコンコースをできるだけ「摩擦のない」ものにする方針だと説明。そのためにさまざまなリーグや競技場側とも協力していることも明らかにした。