起業家たちの「頭の中」

トレジャーデータ 芳川裕誠氏

多種大量なデータを即時に収集・分析するクラウドベースのデータ管理基盤を構築し、300社以上のデータマネジメントをサポートしてきたトレジャーデータ。同社を2011年にシリコンバレーで創業した元CEO 芳川裕誠氏に、アメリカと日本のスタートアップの違い、SaaS型ビジネスの成功法などについて聞いた。※本記事は2019年4月に掲載したインタビュー記事に加筆・修正を加えております。

War timeを乗り越える「覚悟」


──起業家にとって、重要な素養を挙げるとすると何でしょうか。

CEOには“Peace time CEO(事業が順調な時のCEO)”と“War time CEO(事業が不調な時のCEO)”の2タイプが存在する、と言われることがありますが、起業家は基本的にずっと“War time”です。

ですから、そんな“War time”を耐え抜けるだけの「精神的タフネス」が大前提として必要です。

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──芳川さんはどのように「精神的タフネス」を身につけられたのでしょうか?

私の場合は起業して会社経営を続けるうちに勝手にタフになった、というのが正直なところです。起業前の私がすごくタフだったとは思いませんが、今はすごくタフになったと思います。なので起業する前から素養として持っておかなくても大丈夫なものかもしれません。

しかし「精神的タフネス」が勝手に身につくほど、辛いことがたくさん起こる「覚悟」はしておいたほうが良いでしょう。

──逆を返すと起業家には必ず辛いことがたくさん起こる、とも言えますね。

起業して資金調達を行いチームを作ると、もう逃げることはできません。起業家には辛い出来事を上司や職場環境のせいにする、という選択肢がないのです。

実際に、私も辛いことがたくさんありました。

仲間が辞めてしまったり、逆に自ら雇った方を辞めさせたり。そもそもお客様が獲得できなかったり、あるいはお世話になったお客様が解約してしまうこともありました。

他にも、自分たちにはどうしようもできないマクロ要因に翻弄されることもあります。たとえば昨年末に株式市場が大きく値崩れしましたが、あんな出来事もスタートアップの企業価値に直撃するわけです。

自分ではどうしようもないことも含めて、起業家はすべて乗り越えていかなければなりません。その過程で「精神的タフネス」は勝手に養われていくのです。

私は2011年6月に会社を作って、2018年7月にArm社に買収されるまで7年1ヶ月、CEOとして会社経営してきました。期間を振り返ると全体的には美しい思い出なのですが、個別で思い出されることは辛いことが多いです。

これから起業するような方には、辛いことが起こる「覚悟」はしておいてください、と言いたいですね。

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文=山崎満久 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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