テスラのCEOを務めるマスクは3月6日、新型コロナウイルスの感染拡大が引き起こしたパニックについて、率直な感想を投稿した。
「コロナウイルスによるパニックは、バカげている」
この投稿には様々な反応があったが、人々は概ねマスクの意見に賛同したようだ。念のためはっきりさせておくと、マスクはウイルスの感染症を深刻にとらえることがバカげていると述べた訳ではない。パニックそのものがバカげているというのが彼の主張だ。
パニックはどんな状況においても愚かな事だ。脳科学理論によると、パニックは反射的に引き起こされるもので、多くの場合、事実に基づいていない。パニック状態に陥ると、脳が恐怖や不安に支配されやすくなり、誤った決定を下してしまう。量販店のコストコに押しかけて、ありったけのトイレットペーパーを買い占めるような行動をとるのだ。
マスクはパニックになるなと人々に呼びかけ、合理的な行動をとるよう求めた。グーグルでパニックの定義を検索してみると、次のように書かれている。「突発的に発生する不安や恐怖をコントロールできなくなる状態で、野蛮で思慮を欠いた行動につながる場合が多い」
しかし、彼のツイッターの投稿に多くの人が賛同した一方で、反発の声をあげた人も少なからず居た。マスクほどの影響力を持つ人物が、感染症の脅威を軽く見るような発言をすべきではないと主張した人も現れた。この意見もまた、理にかなったものと言えるだろう。
マスクのツイートには、その後も様々な意見が寄せられた。その中には「実際にコロナウイルスに感染した高齢者に対して失礼だ」というものや、「マスクは、感染拡大がテスラのビジネスを脅かすことを苦々しく思っているから、このような発言をしたのだ」というようなものもあった。
問題のツイートは現時点で約170万件のいいねを集めており、今後も支持を伸ばしていきそうだ。しかし、このような議論が今後の感染拡大を食い止める上で、何かの役に立つとは考えにくい。
ツイッター上で3200万人ものフォロワーを持つマスクが、バカげているという軽蔑的な言葉を用いて感染拡大についてコメントしたことで、予想もつかなかった反響が生まれ、混乱が広がった。