仮に私たちが、2016年にパリ協定で定められた二酸化炭素削減目標を達成できたとしても、世界の気温は2030年までに1.5℃以上上昇する可能性が高く、それにより、干ばつ、洪水、猛暑、何億人もの貧困などのリスクと影響が大きくなるため、二酸化炭素排出のペースは大きな問題となっています。
幸いなことに、ここ10年間で高まった国際的圧力が、二酸化炭素排出の問題に取り組むための解決策の開発を後押ししています。この解決策のひとつとして、大気中から二酸化炭素を除去することにフォーカスしたネガティブエミッション技術(NETs)と呼ばれる技術があります。
これら二酸化炭素除去のための解決策は、気候変動との戦いにおいて大きな意味を持つものとなる可能性もありますが、二酸化炭素排出を効果的に抑制するためには、特定の条件を満たす必要があります。
CO2の回収・貯蓄方法の発見
マサチューセッツ工科大学(MIT)エネルギー・イニシアティブの、シニア・リサーチ・エンジニアであり、二酸化炭素回収貯留(CCS: Carbon Capture and Storage)における第一人者であるハワード・J・ヘルツォーク教授は次のように述べています。「空気中の二酸化炭素を増やさない最良の方法は、そもそも排出しないということです」。既に排出された二酸化炭素を、長期的に再回収し貯留することがいかに難しいかを考えると、この言葉は、まさに真実です。
より多くの木を植えること。これは、自然がもたらす最もシンプルな二酸化炭素を取り除く方法です。これが効果的な解決策となるためには、森林伐採や自然災害からしっかりと土地を保護するよう管理しなければなりません。土地が保護されていなければ、木々は数百年分の二酸化炭素量しか貯留できず、気候変動を遅らせるのに必要とされる数千年分には全く足りません。