市場リスクと技術リスクを軽減する策とは
多くの二酸化炭素除去のための解決策は、いまだ開発段階であり、商業化までにはまだ何年もかかるでしょう。商業化に向けて、経済的見返りの保証がない中で、研究開発への多額の投資が必要となります。多くの投資家や資金提供者にとって、これは安易に許容できるリスクではなく、新しい解決策を開発するための資金集めは難航しています。
サイクロトロン・ロードは、スタートアップトレーニング、研究室へのアクセス、生活費、研究費、メンターシップを通して、革新的なハードテック領域の社会的企業をサポートする起業家フェローシッププログラムです。
ローレンス・バークレー国立研究所と連携してサイクロトン・ロードのマネジメントを行う、非営利組織アクティベートの副社長、ロバート・イーシア氏は、このサポートにより、「ハードテック領域のスタートアップ企業は、プログラムとパートナーを活用することで、市場リスクおよび技術的リスクを軽減させ、商業化を加速させることができる。」と述べています。
初期段階では、二酸化炭素除去のための解決法の開発を加速化させるには、適切な社会企業家に投資し、間違いのないビジネスと業界をサポートする、リスクを許容できる寛容資本が不可欠です。
つまり、二酸化炭素除去技術を商業化するのに必要な資金提供においては、インキュベーター、アクセラレーター、慈善家、国際機関、政府、学術機関、エンジェル投資家などのリスク許容度の高い資金提供者が重要な役割を果たすということです。
発展途上の解決策を知ること
自然界に存在するものを含め、二酸化炭素除去技術は増え続けています。開発における段階は様々ですが、これらの技術は、未解決の気候問題に対する必要な防御機能としての可能性を有しています。しかしこれらは現在、そしてこれから排出される二酸化炭素に対する保険にはなりえません。
二酸化炭素排出量を世界的に削減するためには、二酸化炭素除去技術とその他の解決策、そして世界的な取り組みとを組み合わせて対処していかなければなりません。しかし、利用可能な発展途上の解決法があるということを知るだけでも、これらの解決法の開発、コスト削減、スケールアップの動機付けとなるはずです。世界の未来は、それにかかっているといえるでしょう。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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