8歳で年収24億円、世界で最も稼ぐユーチューバーの父親が語る

カジ・シオン


目下、力を入れているのは教育系のチャンネルだ。ライアンくん自身も最大の興味は科学や数学にまで広がっている。インフルエンサーとは文字通り、影響力がある人物のことを言う。カジが気にしているのは、ライアンくんが彼のファンである子供たちに良い影響を与えられるかどうかだ。
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おもちゃレビューから始まったユーチューバーだが、成長とともに影響の与え方も変化している。教育チャンネルだけでなく、動画の外の世界でも影響力を自覚し、行動にもつなげている。ビデオで使い終わったおもちゃは地元のチャリティー団体に寄付し、重い病気を抱えた子供たちの夢を叶えるプロジェクトにも参加し、親のいない子供たちのサポートなどに取り組むNPOに多額の寄付をする。

こうした立ち居振る舞いは、アメリカのトップ俳優にも通じるものがある。


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「アメリカでは貧富の差が激しく、それは健康面でも教育面でも如実に現れます。ライアンには成功した頃からも、こうした現実を教えています。貧富の差や社会にある問題を理解し、適切な行動を取れる大人になってほしいのです。

僕たちは寄付する分野も毎年、決めています。ライアンが寄付することで、関心を高めることができます。がん治療を受けている子供たちが「ライアンに会いたい」という願いを持っているということで、それを叶えるということにも取り組んでいます。

特に日本でのインフルエンサーへの注目は金銭面に集中しています。教育や社会に影響力をどう行使しているのか、という点はあまり興味がもたれません。

いまライアンは世界の子供達に影響を与えます。彼の行動を通じて、社会的な問題にも関心が高まればいいと思います。

僕は昨年、台風19号が直撃した時にたまたま日本にいました。被害を聞いて、すぐに妻に電話をして、すぐに寄付ができないかと相談し、動いてもらったのです。もし助けが必要な人がいるなら、僕たちができることから手助けしたいです」

動画作成には最も大事なのは哲学。儲かればいい、では続かない


今後、ライアンくんの活動は日本、アジアでも広げていくという。日本人とのハーフであるライアンくんが日本の文化、歴史、アジアの文化を知ることが彼の教育にも大事になるという考えからだ。

「僕は福島の会津若松市の出身です。15歳まで福島にいました。2011年の東日本大震災が僕たちの活動に大きな影響を与えています。僕はニュースで見ていただけで、福島出身なのにアメリカにいて何もできていなかったのです。

これから復興に必要なことがあれば、ライアンと一緒にサポートしていきたいと思っています」



ただ儲かればいい、影響力がほしいという目的で作った動画は一本もないとカジは断言する。

「動画作成には最も大事なのは哲学です。儲かればいいだけなら、すぐに続かなくなりますし、仮に人気が出たとしても一時的なもので終わります。

子供に良い影響を与える動画というのが、私たちにとって最大の哲学です。例えば科学の実験動画では、見終わったあと、子供たちが自分の家で同じ実験を再現できるように作っています。

見ている子供たちが、ライアンと一緒に学んでくれることが僕たちにとって最大の喜びです」

文=石戸諭 写真=小田駿一

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