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2020.01.24

利益率でナイキを凌ぐアディダスにウォール街も注目

Photo by Spencer Platt/Getty Images

ウォール街では、独スポーツ用品大手のアディダスが、競合の米ナイキをしのぐ躍進を見せている。過去12カ月でアディダスの株価は56.50%上昇。一方のナイキは33.66%の上昇だった。

その躍進の背景にあるのが、アディダスの利益と販売の好調さだ。

アディダスは2019年、全ての市場セグメントで業績が大きく伸びたことで、記録的な増収増益を達成した。特に業績の向上がみられたのが新興国市場(14%増)、ロシア/CIS諸国(3%増)、北米(10%増)と中華圏(11%増:中国、香港、マカオ、台湾を指す)だ。

売上高では依然としてナイキが業界トップだが、最も利益率が高いのはアディダスだ。売上総利益率は、ナイキの44.70%に対してアディダスが52.08%だった。

アディダスの力強い業績の背景には、その推進力となっている幾つかの要素がある。幅広いブランド(アディダス、リーボック[Reebok]、ランタスティック[Runtastic]など)を傘下に収めていることもそのひとつだ。

金融ポータルサイト「インベスティング・ドットコム(Investing.com)」のアナリスト、ジェシー・コーエン(Jesse Cohen)は、イノベーション、人気、デジタル・ショッピング体験という要素もあると指摘する。

「製品の継続的なイノベーション、ミレニアル世代のあいだでのアスリージャー(スポーツウェアと普段着を兼ねたファッション)人気、そして、『SNKRS』アプリを通じた素晴らしいデジタル・ショッピング体験があることから、ナイキの今後の見通しはかなり明るい」とコーエンは述べる。「こうしたことから、この分野における真のリーダーはナイキであるとはいえ、アディダスも差を縮めつつあるように見える」

アディダスは、ターゲットを絞ったマーケティング・キャンペーンを展開し、若い消費者の心に訴えるメッセージも発信している。2019年春に立ち上げたキャンペーン「She Breaks Barriers(彼女は壁を破る)」の第2弾などがその例だ。
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翻訳=森美歩/ガリレオ

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