ビジネス

2020.01.21

会社の幸せよりも先に「個人の幸せ」を突き詰める|SHOWROOM 前田裕二

SHOWROOM 代表取締役社長 前田裕二




価値観を「決めていること」の重要性

例えば、僕は兄貴のことをこの世で一番尊敬してるんですけど、彼にとっては、圧倒的に仕事が大事”じゃない”んですよ。もう、家族しか大事じゃない。だから、時々、普通に午後1時とかに家に帰ってくるし。午後1時に帰ってくるセールスマンってなんだって話ですよね。笑

僕が彼のことを尊敬している理由は、「決めているから」です。彼の人生におけるコンパスは、僕が物心ついて、初めて兄の姿を見たようなタイミング、おそらく兄が15歳とかそれくらいの時期か、あるいはそのずっと前から、既に決まっていたのだと思います。兄貴は、10歳年上なんですが、彼女よりも学校よりも何よりも、僕や家族のことを大事にして、時間を使ってくれた。なぜなら、彼の中のトッププライオリティは、いつだって家族だったのです。それは今もそうです。

兄貴は18の時に見つけた仕事を今もやってるんです。もちろん一度決めたことはずっと継続する性分もありますが、僕からすると、恐ろしいほどの一貫性を持って、「仕事より家族」という姿勢を貫いてる。外資企業からオファーが来た時も、彼は全然興味がなくて。働く量が2倍3倍になるってことは、家族との時間が減るから、それはいやだ、と。そして、確固たるコンパスをもっているから、ものすごーく幸せそうなんですね。あれだけ幸せそうな人って、本当に見たことがない、と言えるくらい。それはすごく素敵なことだなって思うから、尊敬してるんです。

成功することもいいことだし、お金を得ることもいいことだし、事業を通じて社会にインパクトを残すこともいいことだけれど、それよりもそもそも、「自分の人生にとって大事なことは何か」ってことをとことん突き詰めて考えてやってほしい。

自分にとっての幸せと事業が紐づいた時、起業家は最高にハッピーになれる

その上で言うなら、読者の方がこのインタビューにたどり着いているってことは、なんとなく直感的になのか、深く考えた結果なのか分からないですけど、自分の人生において幸せはこれ(=起業家としての道を歩むこと)、と思っているわけですよね?

必ずしもそうじゃないこともあるでしょうけど、自分の価値観と事業が紐づいたら、こんなに幸せなことはないです。いま僕は幸いにもそういう状態になれているから、心からの生き甲斐のようなものをすごく感じていて、高い幸福度の中で仕事ができています。

SHOWROOMのある世界とない世界で、世界の景色や、誰かの人生が変わるんだって、日々感じられる。このことがここまで幸せに思えるというのは、SHOWROOMが果たしている価値が、僕個人が社会に対して果たしたい価値と、綺麗に合致しているからなんだなと、思っています。

なので、とにかく内省を深めてほしいっていうのが、なんかおじさんっぽくて嫌なんだけど、、僕からのメッセージです。

連載:起業家たちの「頭の中」
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文=小縣拓馬 提供元=Venture Navi powered by ドリームインキュベータ

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