また、アメリカでは2017年、ヒップホップ/R&Bが初めてロックの売上を追い抜き、名実ともにメインストリームになった。
ジェイ・Zやケンドリック・ラマーと同じような道をたどるのが、弱冠、23歳にして昨年武道館公演を大成功させたヒップホップグループBAD HOPだ。武道館公演チケット発売日には、販売サイトのサーバーがダウンしたほどの人気を誇る。BAD HOPは、神奈川県川崎市川崎区出身のT-Pablow(ティーパブロ) 、YZERR(ワイザー)、 Tiji Jojo(ティジィ ジョジョ)、 Benjazzy(ベンジャジー)、 Yellow Pato(イエローパト)、 G-K.I.D(ジー キッド)、Vingo(ヴィンゴ)、 Bark(バーク)の8人の幼馴染のラッパーからなる (Vingoだけ東京都育ち)。
この若さにして武道館、そして来年3月には横浜アリーナでのライブが決定していると聞けば「大手レコード会社や音楽事務所の力だろう」と思うかもしれないが、彼らの特筆すべき最大の特徴はすべてをセルフプロデュースで行っている点だ。その中心が、BAD HOP の”頭脳”とも言われるYZERR。今回、セルフプロデュースで爆速で武道館を駆け抜けた彼の思考法に迫った。
逮捕、そして少年院へ
彼らは、神奈川県川崎市川崎区の工業地帯で生まれ育った。そこは貧困と暴力、薬物が支配する街だったという。その生い立ちは、父親が事業で失敗し多額の借金を抱え離婚。母親に育てられるも一家心中を図ろうしたこともあったという。想像を絶するほど壮絶で、TBS『クレージージャーニー』で2週連続放送された他、磯部涼の『ルポ 川崎』(サイゾー、2017)も話題となった。YZERR自身も双子の兄、T-Pablowとのユニット、2WINの「PAIN AWAY」で歌っている。