ビジネス

2019.12.25

サッカービジネスの成功に必要なのは「ロジック」と「懸命な仕事」

シティ・フットボール・グループCEO フェラン・ソリアーノ

経営環境の変化にグローバル化、テクノロジーの導入など、日本のスポーツビジネスにパラダイムシフトが起きている。このパラダイムシフトを理解し、その先に進むために重要となるキーワードの1つが「ストラテジック・マネジメント」だ。チームと企業、チームとグループ全体にシナジー効果をもたらす戦略的な経営とは何か。シティ・フットボール・グループCEOのフェラン・ソリアーノに話を聞いた。


7月27日、日産スタジアム(横浜)で開かれたユーロジャパン杯。イギリスのプレミアリーグの覇者、マンチェスター・シティと横浜F・マリノスの親善試合に6万5000人の観衆が沸き立った。3-1で負けたものの、世界最高峰のチームを相手に果敢に攻め続けたマリノスの善戦ぶりにファンは大歓喜。シティ側への熱い声援も響いた。
 
この試合を見終えたシティ・フットボール・グループ(CFG)のCEO、フェラン・ソリアーノは、日本の可能性を改めて確信したという。

「日本のサッカーには多くのチャンスがある。素晴らしいファンにクラブ、そして数多くの才能あるプレーヤー。数年の停滞の後、Jリーグはあらゆる面で改善した。CFGはパートナーと日本への継続的な投資に全力で取り組んでいる。特に、エキサイティングなのは日本だけでなくヨーロッパでも成功できる新しい世代の若い選手たちだ」とForbes JAPANのインタビューに答えた。

CFGに所属する選手は計1000人以上。イギリス、スペイン、米国、オーストラリア、ウルグアイ、中国、日本と5つの大陸をまたぎ、7つのクラブを傘下に収める世界最大級のサッカー企業だ。2014年には、横浜F・マリノスの株式19.95%を取得し、外資企業で初めて日本のサッカークラブの株主になった。

CFGのグローバルフランチャイズ戦略は、単に複数クラブをもつことを意味しない。有望な選手やタレントの発掘・マネジメントやチーム強化のためのサービス、ブランドやマーケティング戦略といったチーム運営に欠かせない重要な機能を7つのクラブで共有。世界中に巡らせたネットワークの力を生かしてエコシステムを確立し、最高峰の選手と急成長中の市場を確保する、世界のビッグクラブの一つになった。

このCFGのグローバルフランチャイズ戦略のなかで、日本市場、そしてアジア市場の位置付けと期待が高まっているのだ。

ソリアーノはもともと、FCバルセロナの元副会長だった。03年から08年まで、破綻寸前だったクラブの最高責任者を務め、収入を倍増、有数の収益性が高いチームに育てた。彼の著書『ゴールは偶然の産物ではない FCバルセロナ流 世界最強マネジメント』(アチーブメント出版)は話題の書となった。
 
彼の理論はシンプルだ。「サッカービジネスでの成功は、(チームがたまたま勝った、といった幸運で決まってしまうのではなく、)ほかのビジネスと同様に、ロジックを理解し、懸命に仕事をすることでもたらされる。幸運によって短期的に勝つことはあっても、長期的に勝ち続けることはできない。必要なのはロジックと懸命な仕事だ」。その持論はいまも変わらないという。
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編集=Forbes JAPAN 編集部

この記事は 「Forbes JAPAN 「スポーツ × ビジネス」は、アイデアの宝庫だ!12月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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